人類戦線

さむほーん
さむほーん

第十二話 復習と貸し借り

公開日時: 2022年2月3日(木) 16:00
文字数:2,119

あぁ……疲れた……


小松芳枝……もう芳枝ちゃんでいいか


あの子ちょっと強引過ぎでしょ……


結局肥料の調合まで手伝わされたし……


「断る勇気って、大切なんだね……」


押しが強い人はどっちかと言うと苦手な方だ


結局流されちゃうから


「もう今日は休んで良いかな……」


研究所の襲撃に所長の車の強襲


そしてさっきの手伝いで僕の体力はほぼ完全に尽きてしまった


あとはもう自室でお風呂に入って寝る分くらいしか残ってない


城崎にもう休むことを伝えておこう


許可を取りに行くんじゃない、伝えに行くんだ


とはいえ、流石に今日は休ませてもらえるだろうけど


――――――――――――――――――――


「ああ、そうか。疲れたのなら休んでこい」


あれ?思ってたより大分あっさりと承認されたな


もうちょっとややこしくなるかと思ってた


すると、そんな僕の心情を読み取ったのか城崎がこう続ける


「そもそもお前を今まで多少荒めに使っていたのは緊急事態だったからだ。校内が少し落ち着いたから仕事は減ると思っておいていいぞ」


荒めに使ってる自覚はあったんだ……


「ありがと。じゃあ、また明日ね」


仕事が減るってことはもうちょっと学校の人と話す機会が増えるってことなのかな?


一応関わりは増やしておいたほうが今後の仕事で楽になるかな?


……やっぱり考えるのは疲れるからもう止めとこう


今日はもう休みだ!


とっとと部屋に戻ってシャワーでも浴びて寝るぞ!!


「シャワー……あったよね……?」


前は倒れるように眠ったから寮の設備を確認できていない


まあ、寮だし多分あるでしょ


あんなにきれいな見た目でシャワーが共用となればそれはもう詐欺だ


「確か部屋は305とかだったっけ……」


お、良かった


入り口の施設内地図にちゃんとシャワー有りの部屋って書かれてる


――――――――――――――――――――


お風呂が一番だけど、やっぱりシャワーもいいな〜


シャワーを浴びながら今日起こった事でも考えてみよう


まず、朝から城崎に命令されて研究所の方に向かうことになった


そして、向った先の研究所でちょっと揉めてそれの取り消しのためにちょっとだけ警備の手伝いをした


……そういえば、所長さんはもう警備員さんに連絡したのかな?


そこそこ危ない状況だったから無事だっていう連絡くらいは済ませた方がいいと思うんだけど……


そうそう、研究所で警備が終わった後、帰るときに所長に送って貰ったんだ


あとは、送ってもらう途中に銃撃されてなんとか逃げ帰って今に至る、と


帰ってからは肥料の調合とかを手伝ったんだっけ?


あれは大変だったな〜


向こうが手伝わせたはずなのにちょっとでも失敗するととんでもなくキレてくるから


でもまあ、薬の調合ってそんなもんか


あれはまだ野菜用の肥料だったから多少危険でも良かったけど、あれが人間用の薬だったら調合ミスなんて殺人と一緒になる


ま、今日起こったのはそんなところかな


こうしてみると濃い一日だったなー


……よし、頭も体も洗い終わったしシーツ轢いて寝るか


「流石にもうこれ以上不味いことは起きないでしょ」


これでちゃんと逆フラグも建てれた


その後、服を着て布団に入ったが特に変なことは起こらず無事に寝つくことができた


良かった、本当に良かった


――――――――――――――――――――


「よし、連れてきたな」


俺は例の研究者:長崎千尋を連れてきた伏原に向かってそう言った


「あ、その〜」


伏原が何か言いたそうにしているが、流石に研究者の相手が優先だ


「はじめまして。城崎聖と言います。一応今はこの学校を仕切らせて頂いています」


初対面な上、こちらから頼みを聞いてもらう関係のため丁寧に接しておく


「ああ、長崎千尋だ。よろしく。」


校庭の方に顔を向けながら答える


「なにか気になることでも?」


こういった【研究者の目線】と言うのはかなり重要だ


自分たちではなかなか気付くことの出来ないものを見つけることもできるかも知れない


「ああ、気分を害されたかな?……これだけ落下物の使用に慣れている人が居れば、様々な検証が楽に進むと思っただけさ」


なる程、研究者の視点ではあるがそこまで俺たちには役に立ちそうに無いな


「それでは、治験日程について細かい調整をしていきたいんですけど、よろしいですか?」


――――――――――――――――――――


これで今すぐ処理しなくてはならない問題は解決したか


あとは襲撃者が再び攻めて来ても大丈夫なように防備を固めるか


「あの〜城崎く〜ん」


そういえば伏原が何か言いたそうにしていたな


「何だ?」


一応聞いておくか


「今回やって来た研究者の人、実は僕の従姉弟なんだ」


何だ?だからこれ以降は優遇しろとでも言うのか


「そうは言っても、お前は今回の件に関しては何も関わっていなかっただろう」


多少交渉が楽になった可能性はあるが、評価に入れるほどの大きな差では無い


先に言っておけばそのこと前提に話せたから、その場合は違っただろうが後出しで言ってきた今回は駄目だ


「……うん!そうだね!」


何かやたらと嬉しそうに頷いた


……これはもしかすると、自分の関係者が敵を引き連れてきたことについての話だったのか?


別にその辺りは大して気にしないんだが……


「とはいえ、貸しは1つできたと思っておけ」


一応これを貸しにしておくということにしよう

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート