人類戦線

さむほーん
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第三十二話 事故と事件

公開日時: 2022年10月6日(木) 16:00
文字数:2,116

石神梁、神柱賢明、城崎聖


三人は物心ついたときから一緒だった


恐らく、拾われた時期が近かったのだろう


僕たちは、城崎が勉強会で居ないときや三人のうち誰かが風で寝込んでいるときを除いて、飽きもせずに三人で遊んでいた


あの日も、普通に三人で外に遊びに行ってたんだ


場所は院の近くにある山だった


そこには何度も行ったことが有るし、その日も別に変な所に行く予定は無かったから大丈夫だった


大丈夫だった、はずなんだ


――――――――――――――――――――


「ん。ここ。」


「へー……それで、ここに何が有るの?」


梁に連れられて僕は山のある部分にやってきた


普段から遊んでいる山だから、今更何か特別なことが有るとも思えないけど、梁によると何かあるらしい


けど、どんどん奥の方に入って行っているのが少し気になるな


本当にこのままついていって大丈夫なのかな……?


不安に思いながらも梁の後ろを歩く


「これ、見て」


いつもみたいに少々言葉足らずな言い方で指差す


「何これ……」


それを見て、僕は絶句する


そこには、ストーンヘッジのような岩の塊が有った


「見つけた。綺麗だと思って」


確かに、見てみると綺麗にも思える


けど……


「いつ見つけたの?梁、こんなのが有るなんて僕は気づきもしなかったんだけど……」


「前に皆でここに来たとき、梁だけちょっとはぐれたから、その時に見つけた」


いつの間に……


それにしても、随分と見事な岩だなぁ……


何か変な神様とか出てきそうなくらいには立派だ


「ねぇ……これ、本当に近寄って良いやつなの?見るからにヤバそうな雰囲気が出てるんだけど」


こういうの、とか言うんでしょ?


あんまり人間が入っちゃいけない場所なんでしょ?


本当に誰にも言わずにやって来て良かったのかなぁ……


「それで……この後はどうするの?ここで終わりだと余りにも中身が無さすぎると思うけど」


そう聞くと、こう答えてくれた


「ここに登って儀式しよう。そうする」


儀式かぁ……


どういう方法でやれば良いんだろうね?


「何やるの?儀式って言っても色々あるって習ったでしょ?」


そう言って梁の方を見てみると、既に岩を登り始めていた


「ちょっと!何してるの?!危ないよ!」


素手で岩を掴んで登るなんていう無茶をするよんて……


「大丈夫!何回もジャングルジムで練習した!」


ジャングルジ厶って……


その岩結構高いじゃん!落ちたら危ないって!


「ほら!登り終えた!」


あれ?登り終えちゃったの?


意外と大丈夫だったのかな……?


「ほら。賢もこっち来る」


そう言って、手を差し出してくる


その手を取って、上に登った


すると、上には変な祭壇のようなものがあった


「もしかして、これを使って何かするつもりなの?」


「うん」


答えて、祭壇に変なものを置いていく


これを使って儀式をするのかな?


「よし。じゃあここに立って。」


そう言ってある場所を指差す


そこには印がつけられており、印の隣には時刻らしきものが刻まれていた


これが【儀式】の時間か……


それを見つめていると、何やら文字を刻み始めた


「何?オカルト?」


「まあ、そう。でも、やりたいことがある」


これ、言っても聞かないやつだな……


(止めろ)


まあ、ちょつとは付き合ってやるか


特にやることも無いし


(今すぐ止めろ)


「それで、儀式って何をやれば良いの?」


――――――――――――――――――――


「結局あの後、岩の上で肩車をするっていうよく分からない儀式をやったんたけど、特に効果は無かったんだよ。そして、よく分からないまま岩を降りたんだよ」


そうして、降りたときに岩が崩れた


そのまま連鎖的に近くの足場まで崩れて、梁は山の下に落ちていった


その後は大変だった


皆で探す前に城崎が一人で勝手に探しに行って危うく二次遭難しそうだったんだ


「あれは、どこからどう見ても事故なんだけど、どういうこと?」


誰かが仕組んだとでも言うの?


「ああ、そうだ」


……そうなんだ


「それで、具体的に誰がどうな風にやったのか、は分かる?」


どんな風に、というのは単に気になっただけだ


ただ、という質問にはそれ以外の意味もある


それをした人のことが分かっているなら、僕がどうにかして……


「する必要は無いぞ。復讐をやるにしても一人は止めておけ。財閥というのはは一個人が相手するには大きすぎる」


そうか……そうだよね。相手は財閥なんだから、こっちもある程度強力な集団で挑まないと話にならないよね


「わかった。じゃあ、その財閥への攻撃が決まったらまた伝えてね」


少し呆れた顔をしてから城崎は頷いた


「まあ、そうする。それと、お前にもう一つ伝えておきたいことがある」


これは過去のこととは特に関係が無いんだが、と付け足してこう言った


「以前から起こっている行方不明の件、おおよそ

だが検討がついた」


行方不明……


そんなこと話してたっけ……?


まあ、取り敢えず話を聞こう


「あれだが、神隠しが発生しているということが予測される」


神隠し?


「それって、神様が気に入った相手を連れて行くアレ?」


そう聞いてみると、城崎はこう返す


「原義ではそうだが、今起こって居るのがそれと同じかどうかは分からない。あれは一種の怪異だ」


「怪異?それって、あのおおいさんとかと同じジャンルの?」


そう言って、城崎はそのについて話し始めた

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