今、僕らは昨日軽く話した場所にいる
緊急会議らしい
何か変化があったのだろうか
「一組の葉狩がついに外に出た」
こいつ……本気で言ってるのか?
そのために僕たち3人を集めたのか?
いくら城崎でも、そしていくら僕でも怒るぞ
「城さ
「それは本当か?!」
なんだ??
「そこまで驚くことなのか?」
須歳は確かに感情の起伏が激しい
だが、ここまで驚くとはどういうことだ?
「実は城崎と共に葉狩の動向を調べていたんだが、あいつがなかなか姿を表さず、手をこまねいていたんだ」
なるほど
でも、そんな葉狩がどうして急に動いたんだ?
なにか大きな変化でもあったのか?
「ここで動いたということから、考えられるパターンとしては2つだ」
城崎なりに考えがあるらしい
「1つ目は俺たちの監視に気付かずにこちらを潰しに来た、というものだ。だが、これは少し楽観的過ぎる」
まあ、そうだよな
調べ始めてすぐに来たということはこちらに気付いたと考えたほうがいいだろう
「もう一つは、こちらを誘うトラップということだ」
城崎にしては普通のこと言うな
「なら、無視すればいいんじゃないのか?」
高確率でトラップならわざわざ出ていく必要もないだろう
「お前、それが正しいとしたら俺がなんでお前らにこの話をしているのか分からないのか?」
「??」
「つまり、」
あ、弘岡は分かってるのか
「葉狩の目的がトラップだとしても、このまま放置しておけばこっちに攻撃を仕掛けてくる、と、言うこと?」
「そうだ」
なるほど
まあ、二段構えの作戦で好きがないとは言えるが
城崎が警戒していた相手にしては少し作戦が普通すぎる気がする
「でも、そいつはクラスを一つ操れるくらい頭のキレる人なんだろ」
「ああ、」
「じゃあ、二段構えなんて単純な計画で終わるのか?」
「いや、俺もそれはないと思っている」
じゃあ、どういう作戦だと思ってるんだ?
「だが、現状から考えられるのはその2つくらいだ。可能性の低いものはいくつかあるが、そういうものは上げだすとキリがない」
「なら、こちらから出たほうがいいと思うぞ」
今まで空気だった須斎がやっと意見を言った
「私は薙刀を習う過程で平方も学んだのだが補給のない籠城戦はかなり不利だ」
「まあ、相手に待たれたら終わりだしね」
おびき出しているなら何かこちらを確実に潰せる策があると考えて良いだろう
「どちらにせよ、今は予想するより準備のほうが優先た」
「そうだ、葉狩の装備の能力は何なんだ?」
ん、須斎は知らなかっだのか
城崎だけが知っていたという感じか?
「ああ、あいつの武器は俺と同じ手袋型だ。まあ、カモフラージュの可能性もあるがな」
あ、これを聞いてなかった
「そういえば、城崎の装備の能力を聞いていなかったと思うんだが」
このタイミングで味方の能力を知らないのは流石にまずいだろう
「ああ、俺はこの手袋でしばらく触れたものを支配できる。支配したものは遠隔操作で操ることもできる」
最初のあの蔓は植物を支配して強制的に成長させた、って感じか
「そして、あいつの能力はおそらく【波操作】だ。かなり汎用性があるだろう」
「波、はどこまでのこと?」
弘岡、色々と気づくのが早いな
僕だったらあと2,30秒はかかってるぞ
「おそらく波とつくものならほとんど全てのもの、音波や光波から水の波まで操作できるものと考えていいだろう」
おいおい、
「それ、勝てるのか?あんまり対抗する方法が考えつかないんだが」
「まあ、対抗策が無いわけではない」
それが何なのかが僕の頭では分からないんだが…………
「細かいことは移動しながら話す。そろそろ準備しないと本格的にまずいだろうからな」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「まず須斎、お前はあいつの前で隠れられていると思うな」
「なぜだ?城崎」
まあ、これはなんとなくわかる
せっかくだし、僕の方から言ってあげよう
「コウモリは超音波を出して、その反射で獲物の位置を見つけている、っていう話は知ってる?」
「ああ、超音波探知《エコロケーション》のことだろう」
「もしそれと同じことを葉狩がやったら、光波や音波を透過できる須斎でも高確率で見つかる」
まあ、もしそんな事ができるなら全員位置バレした状態からのスタートだけどね
「だから、少しでも見つかる可能性を下げるため、全員がこの防火扉の裏に隠れる」
なるほど、でも……
「それじゃあ神柱の機動力が全然活かせない」
ナイス弘岡!
僕は相手が見えていればどう動けばいいか分かるが見えていなければまるで分からない
音もしなければ気配もないからな
「だから、神柱には少し遠くで待機していてもらう。まずそうならお前のスマホに何か送るから、通知が来次第すぐにこっちに来てくれ」
「え、危ないときに行くの?」
そこは「生き残って希望をつないでくれー」みたいなやつじゃなかったんだ
「よし、じゃあ配置につくぞ」
城崎のその言葉とともに城崎を含めた3人が一斉に動き出した
「じゃあ皆、また後で」
そして僕も、一人で安全と思われる場所に向かって移動を開始した
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「遅いな」
この俺が直々に来てやっているというに
まさかあの雑魚共にやられた訳ではあるまい
俺の警戒している城崎はその程度の者ではない
籠城戦を選んだか?
そう考えつつ、防火扉の前までやって来た
「……はぁ、つまらん事をする」
その方法を使っても勝てないとお前はとうにわかっているだろう、城崎
そう言って通り過ぎた俺が先程まで歩いていた床がめくれ上がっていた
俺を防火扉と床で挟む形で
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