人類戦線

さむほーん
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第三十四話 それぞれの思い

公開日時: 2022年4月10日(日) 16:00
文字数:2,108

ん?城崎から連絡が来てる


明日の昼頃出発?


もう行くのか……


早くない?


昨日会議をしたばっかりだよ


……やっぱり、あの焦ってる感じは何かあったのかな?


僕には思いつかないけど……


よし、それじゃあ僕も準備しておくとしよう


「持ち物は……刀と、水も入れとこうか」


前に戦いの途中で水を使った攻撃をしたことがある


再現できるとは限らないけど、一応再現するアテは有る


それと、念の為に食べ物を少し入れておこう


スティック型の栄養食品にしておいた方がいいかな?


生物は論外として、パンとかでも場所を取りそうだし


というか、生物は大体使い切ってるんじゃ無いかな?


多分そんなにストックとかないだろうし


まあ、それは置いといて


他にも入れておかないといけない物が無いか確認しないと


――――――――――――――――――――


「……暇」


今回私、弘岡美優には出撃が命じられなかった


いや、それどころか出撃「停止」が命じられた


そのため、特に準備することもなく今までと同じように保健室のベットの上に居る


仕事が無いということはこれ程まで暇なことだったのか


大人たちが必死になって仕事を探し、維持しようとするのは生活の為だけでなく、暇を潰すという目的も混じっているのかもしれない


もしくは、何もしていないことで生まれてしまう不安をどうにかしてかき消すためか


仕事をしていないっていうのは依頼先から自分の実力を認められていないっていうことでもあるから


そんな風に誰かに求められている感覚を得ながら自分にも金銭的なメリットが有るんだから仕事というのは人にとって無くてはならないんだろう


まあ、今はそんなことどうでも良い


問題なのはこの空いた時間をどうやって潰すか、ということだけだ


「本当に何やろう……」


時間はあるから、相手とこちらの勢力について整理してみるのも良いかもしれない


そう考えて、少しだけ考え始めた


――――――――――――――――――――


「よし。準備完了」


念の為に色々と入れてみたけど、これを全部使うことにはならなさそうだなぁ


ん?ノック?僕の部屋なんかに誰が来るんだ?


「入っていいよー」


ドアの向こうから、伏原会長がやってきた


「遊びに来たよー」


遊びに、かぁ……


この人、そんなに僕と仲が良かったっけ……


ま、いっか


「遊びにって、何しますー?」


この人の趣味って何なんだろう?


顔を合わせるのも今日が初めてみたいなものだから、相手のことは何も知らない


遊びに来たからにはちゃんと何をするかくらいは考えてあると信じたいけど


「何する?」


……………………


目的が無いまま遊びに来るタイプの人ですか……


苦手なんだよなぁ……このタイプ


「じゃあ、UNOかイカラトゥーンでもします?」


「イカラトゥーンにしよー。結構自信あるんだよ、それ」


そう言って、二人で一緒にスマートフォンを取り出した


イカラトゥーン内には結構な数のフレンドが居るけれど、現実リアルでも親交がある人と一緒にやるのは多分初めてかな?


「会長のフレンドコードって何ですかー?」


「1991KGBRSSAだよー」


「…………狙ってます?」


「いや、勝手に割り振られた」


偶然ってあるもんなんだね……


しばらくはイカラトゥーンで時間を潰そうかな?


「あ、フレンド申請通りましたね。じゃあプライベートマッチでもやります?」


「そうだね。ここ最近全然できて無かったから腕が鈍ってないかな?」


最近、か


そういえばこのゲーム、最近参加人数少ないな


前にネッ友に連絡を入れてから、暇なときにちょっとやったりしてるけど


全体的にマッチングするのに時間がかかってる気がする


過疎ってるのか?


結構人気なゲームだったんだけどな……


そういえば、別のゲームでも僕のことを気にしている人が居なかったな


あれもそのゲームのプレイ人口が減ってたからなのかな?


特に海外鯖が壊滅的な状態だったっけ?


アメリカで結構人気なゲームだったはずなのにマッチングに三時間とかかかってたもん


ま、今はそんなこと忘れて遊ぶんですけどねー


久々に僕の本気、見せるとしますか


――――――――――――――――――――


「ねぇ〜城崎様〜。今度の攻撃で頑張ったら独房に閉じ込めるの止めてくな~い?ちょっとそろそろ飽きてきたんだけど〜」


城崎様が電話を入れてきたので、そうやってお願いしてみる


いい加減この真っ暗な部屋で過ごすのも飽きてきた


「……そうだな。一定以上の活躍をしたら考えよう」


「考えよう?!考えるだけなんですかぁ?!」


面倒くさい感じにしておいたら多分意見を通してくれるはずだ


もちろん、面倒くさがられてこのまま死亡、っていう可能性もあるけど


「分かった。今回、結果を出せたらこの独房からの解放を認めよう」


「おっけー。今録音したからね。絶対だよ!」


言質は取った


これなら本気を出す気になれそうだ


「なら、今回は俺の指示する配置に付いてもらうが、それで良いか?」


「大丈夫、大丈夫。そのくらいなら何とかするって」


あ、これ僕も言質取られちゃったかも


ま、良いか


どっちにしろ解放を餌に扱き使われるのは変わらないだろうし


いや〜今から寮に入るのが楽しみだわ


窓際はあんまり好きじゃないから真ん中の方が良いかな


あ、取らぬ狸の皮算用なんて言ってくる人は僕より先に突撃ね

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