人類戦線

さむほーん
さむほーん

第三十六話 攻勢

公開日時: 2022年4月16日(土) 16:00
文字数:2,105

えっと……警備の人達が1,2,3,4……8人か


この人数だったら残り時間で倒すのは難しそうだな


一旦解除しよう


(解除)


すると、止まって居たように見える警備の人達が動き始める


さて、これですぐに倒せば……いや、待てよ


警備員となれば定時報告みたいなのも有るのか?


だとしたら今すぐに倒すよりは報告直後を狙った方が良いのかな?


じゃあ、予定変更だな


ちょっと離れてから本部(城崎)にそのことを伝えておこう


――――――――――――――――――――


よし、ちゃんと連絡も入れた


篠原?さんの持ち帰ってきた情報ではもうすぐ定時連絡の時間のはず……


「……はい。こちら十六番地点です。特に異常有りません。どうぞ」


お、何か話し出したぞ


ちょっと待ってみよう


……多分、話は終った……かな?


じゃあ早速だけど処理させてもらおう


(抜刀)


峰打ち……にしようとも思ったけれど、僕はやり方が分からない


不確実な方は辞めておこうかな


喉元を突いてから首を落とす感じでいいか


……刺さらないな


あ!これ、首の骨に当たってたのか!


じゃあちょっと位置をずらして、と


……よし!今度はちゃんと刺さった


これは一回ちゃんと習った方が良いかも


今のままじゃあ戦闘能力が足りない


いや、今のところは大丈夫だけど、今後装備の力を使いこなす人が相手に現れた時に苦戦するだろう


だって僕、一応刀は使ってるけど剣術は習ったことないんだもん


そういえば、弘岡は中々刀に関して詳しそうだったなー


僕が勝手に太刀って言ったときも打刀だって訂正してたし


今度弘岡に刀の使い方について聞いてみよう


まあ、それはそれとして


他に警備員っぽい人は居ないかな〜


あ、あそこにもう一人


この人も同じ方法で、っと


「……え?」


間違いなく、僕は加速した状態のはずだ


その速度に着いてこれた人なんて今まで一人も……


いや、一人居たか


前、寮に攻撃を仕掛けたときに一人だけ僕と似たような速さで動いてる人が居た


よく分からないけど、多分高速移動をしてたか周囲を減速させていたかのどちらかだと思う


ということは当然この人も似たような能力チカラを持っていて……


あ!避けなきゃ!


このままだと危険だ、ということに僕はやっと気付いた


そこで、迫ってきた鉄パイプを状態を反らすことで強引に避けた


「うわっ!」


勿論、イナバウアーが出来るほどバランス感覚は良くないのでそのまま後ろに倒れてしまう


(ヤバイヤバイヤバイヤバイ)


流石にそのままでは的だったので大急ぎで相手から距離を取る


(何だ?!高速移動?周囲の鈍化?やり方によって対策がかなり変わってくるぞ!)


まあ、どれに対しても対策なんて僕は持ち合わせて無いんだけど


少し距離を取ったので、相手を観察してみることにしよう


見た目は本当にただの警備員だな


「あの、ちょっと待って下さい!」


……あれ?聞こえてない?


反応が無いぞ……


もしかして、超高速で動いてる(もしくは、そう見える)だけで思考は早くなってないのか?


いや、思考が早くなっても口が動かなければ答えることは出来ないのか……


……どちらにしろ、よく分からない相手に対しては奇襲のメリットを捨ててでも逃げたほうが良いでしょ


いや、でも待てよ


今回の作戦で敵の本拠地を攻めるのは僕と須斎だけとなっている


ここで僕が敵に情報を与えるだけ与えて帰っていったら作戦は大失敗


それを招いた僕は勢力から追い出されて城崎との関係も悪化


うん、駄目だこれ


ここで相手をしないと僕の人生、それと、その人生の意味が消えかねない


よし、首を取りに行くか


あれ?これは……


光が見える


相手の首筋に向かって何筋か光が伸びている


前に見たことが有るな、これ


確か……研究所だっけ?


この筋に沿って動いたら助かったはず……


じゃあ、今回もこの筋に沿って刀を動かしたら良いのかな?


(じゃあ……こうか)


光に合わせて刀を動かすと、驚くほど簡単に相手の首が落ちた


「え?」


あれ?……首を落とすのってこんなに簡単なの?


首は骨が多いからどこを切っても硬くて刃が通らないって聞いたことがあるんだけど……


デマだったのかな?


「まあ、僕が無事で作戦が上手く行きそうならそれで良いや」


細かいことは後で考えよう


それよりも


「一旦隠れて連絡を取った方が良いかな?」


もう加速していられる時間は十秒くらいしかない


だから、すでに隠れては居るんだけれども


やっぱり一旦連絡した方が良いね、これは


もしかしたらこれくらい強い相手が沢山居るかもしれないし


まあ、そうでは無いと信じたいけれども


そして僕は、加速状態が切れると同時に城崎に連絡を取った


勿論、時間のかかる電話では無く、メッセージで、だ


返事が来るまでは一旦待機だな


加速しても待ち時間は短くならないから加速はしない


前に使いすぎなのか分からないけど体が熱くなって倒れたことがある


ん?足音……


嘘でしょ!?この時間はさっきまで居た人以外誰も来ないんじゃなかったの!?


まずいまずい……倒した人放置してるぞ……


これは、一旦加速して気絶してる人と死体らしきものを退けないと


(抜刀)


作業開始


――――――――――――――――――


「おーい、そろそろ交代……って、どこ行ったんだ?」


「俺らの配置ってここで合ってたよな?」


「そうだな……一応雇い主うえに連絡しとく?」

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