この機械よく見たら超小型カメラに盗聴器まで付いてるんじゃないか?
一体何円したんだよ
もしかして副会長は超大金持ちだったりするのか?
どちらせよ、偵察の予定は変えたほうがいいな
早く須斎に報告しとこう
一応城崎にも言っておいたほうがいいかな
そう思いつつ、僕は少し急いだ足取りで例の会議室に向かった
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「あ、城崎」
「どうした、神柱」
「なんか敵の偵察が来てたんだけど」
「そうか、じゃあ偵察は延期だな」
あれ?随分と決断が速いな
まあ、別に早いことは良いんだけど
「やっぱり、城崎は決断が速いな」
「まあ、もともと予想していたうちの一つだからな」
予想していたのか、っていうことは
「この部屋にはもうあの偵察機はないの?」
「ああ、もう全て壊しておいた。お前に付いて入ってきたものもな」
あれ?付いてたんだ
全然気付かなかったんだけど
やっぱり城崎には五感以外のなにか別の索敵手段があるのかな
「というわけだ、神柱。偵察を予定通り行え」
あれ、変更しないんだ
「ん?何で変えないの?」
「ああ、敵は多分お前が偵察機に気づいたことは知ってるだろ」
まあ、そうかもね
多分偵察機が壊されたのは僕に斬られたから、っていうのは相手は知ってると思う
「だとしたら、後は敵がこちらについて考えることは2パターンだ」
「どの二つなの?」
「1つ目は、こちらが予定を変更した、と考えるときだ。このときは、むしろ予定通り行った方が警備は薄くなる」
「あ、そっか」
こっちが予定を変更したのならその時間帯は敵があまり来ないと相手さんは考えるのか
「もう一つが、こちらが予定を変更していない、と考えた時だ」
「そしてそっちでは予定の時間の警備は厳しくなる、と」
偵察されないために
「でも、それだと一旦やめて様子を見たほうがいいんじゃない?向こうだけ情報を知っている状態なら、それを一旦イーブンにしないと」
情報戦は戦いの中で一番大切と言っても過言ではないだろう
「いや、ここで勝負を仕掛けておかないと先手を取られることになる。そうなったら寮から物資を調達できる相手に勝てるとは思えない」
そうだった
相手は寮を利用して食料も補助用の物資もこちらより遥かに多く調達できるんだ
だからこの前短期決戦にしようって言ったんじゃないか
「でも、城崎」
「何だ?」
「こっちがいつ偵察に出るかを確認されたってことは、こっちの防御が薄くなるタイミングもバレたってことでしょ」
「そうだ」
そうだ、って……
「それ、相当リスク高いんじゃない?」
「いや、そもそもお前と須斎は防衛戦力としては数えてない」
え?
戦力外ってこと?
「二人とも奇襲を中心とした戦術が得意だから防衛に回すのは効率が悪いと考えたんだ」
まあ、確かに防衛に回されても大して期待できないような働きだろうけど……
でも、奇襲中心で動くのは危なそうなんだけど
「それに、もともとうちの防衛はほとんど俺一人でやっている」
え、そうなんだ
「あ、そっか。城崎の場合あらかじめ建物を支配しておけば」
「ああ、だから俺は防衛には向いている、と思う」
なるほど
「それに須斎や神柱なら防衛に回して具体的に何をやれるのか、というところもある」
「まあ、僕らもともと隠れたり特攻したりするのに向いてるから」
だから各個撃破くらいにしか使えないのか
「と、言うわけだから、お前たちは基本的に防衛戦力に回さない。俺と、あと弘岡がいれば大抵は大丈夫だと思う」
ん、弘岡?
「弘岡ってそんなに防衛向きの装備だったっけ?」
あいつの装備ってどっちかというと僕らみたいな特攻用な気がするんだけど
「いや、以前はそうだったらしいが今では自分の体の周辺のものも硬化できるようになったらしい」
へー、硬化範囲が「刀と自分の体」から広がったのかな
じゃあかなり汎用性が上がったことになるぞ
あいつ、戦い続けてそこまで進化していたのか
僕ももうちょっと模擬戦しようかな
「そういうわけだから、特に防衛に関してはお前たちが居ようと居まいとあまり関係ない」
なんかこう言われるとちょっと寂しいな
まあ、別に僕たちが必要ないって言われてるわけでもなければ嘘を言われてるわけでもないんだけど
「だからお前らはしっかり偵察に集中しろよ」
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そしてまあ、偵察当日になったわけで
「しかし、時間を変えないとは聖も大胆だな」
「まあ、あいつはそういうふうに普通のやつは取らないけど合理的な行動を取るのが基本だからな」
この要素は城崎聖を語る上では欠かせないだろう
「よし、じゃあ私は予定の場所に行ってくる」
「わかった、僕も見張りの場所に着いておくね」
さて、須斎との共同任務は久しぶりだ
連携の仕方については十分に確認したつもりだが、ちょっと不安になってくるな
それに、敵がどんな装備を持っているかもわからないから、最悪一発で倒されることもありえる
一応退路の確保しやすい場所ではあるけど
そんなことを考えてると、もう予定の場所についてしまった
そして、この戦いで僕は情報の持つ力の大きさを理屈ではなく体験として知ることとなる
まあ、城崎は知っていたんだろうが
そんなことも知らずに、僕は周りを警戒しながら須斎の警護態勢に入った
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