人類戦線

さむほーん
さむほーん

第三十五話 決行

公開日時: 2022年4月13日(水) 16:00
文字数:2,111

「よし、集まったな」


今、僕達は官邸から少し離れたところにいる


決行当日、出発の準備は全員済ませてきた


まあ、全員とは言っても何人かはここに居ないけど


例えば、自分の姿を隠せる須斎は先に官邸の内部で待機中


他にも、篠原(多分この名前で合ってる)さんは陽動として伏原会長と一緒に官房の方をヒットアンドアウェイで荒らしているらしい


僕は暴れるのは苦手だからこういうことをやってくれると非常に助かる


ついでに言うと、弘岡は学校で待機中だ


そんなわけで、今ここにいるのは僕と城崎だけだったりする


「配置や役割は昨日言った通りだ。まずは神柱に行動を起こしてもらう。警備を倒してもらうが、行けるか?」


「万全だよ。ただ、正当防衛でもないのに人を殺しちゃうのは大丈夫なのかな?」


そこが少し気にかかっている


今までも何人か手にかけているが、公的機関の人を殺っちゃうと流石にバレそうだ


「そこについては問題無い」


お。ちゃんとバレない対策はしてあるんだ


「これから戦う相手は国家権力だ。負ければバレようがバレまいが逮捕・裁判されるし、勝てばもみ消すことが出来るくらいの権力は手に入る」


あ……バレることは前提なのね


「でも揉み消すって……できるの?撮影されてTweeeeterとかに挙げられたらもう消せなくない?」


デジタルタトゥーとか【消すと増える】とか言うし、一度ネットに上がったものを完全に消すのは不可能なんじゃないだろうか?


「今は情報がかなり錯綜しているから、万が一挙げられたとしてもそれが嘘であることを匂わせれば影響は最小限に抑えられるぞ」


なるほど。消すよりも信憑性を下げる方が楽……かな?


多少不安な点は有るけど一応対策も出来ている、と


「分かったらとっとと行って来い」


はいはーい、っと


(抜刀)


久しぶりに抜刀をした気がする


確か、官邸はこっちだったよね


このまま官邸に向かって警備の人達の戦闘力を奪う


加速されている時間の中では散歩より多少難しいという程度だ


じゃあ、移動を始めますか


――――――――――――――――――――


『とっとと行ってこい』と言うとすぐに神柱が消えた


恐らく、いつもの高速移動のようなものを使ったのだろう


あの速度で動かれると俺達は反応すら出来ない


だから、あいつの安全については俺が考えなくても大丈夫だと思う


だが、それは万が一あいつが危険な状態になったとしても俺達にサポートする術がないということにも繋がる


どうにかしてあいつの速度に着いていく方法を考えないとな


あいつを守る方法は出来るだけ多いほうが良い


速度……か


支配だけではどうにもならないな


から奪ったガントレットを使いこなす方法を模索していかないと


そうだ、他の場所の状況も確認しておかないと


俺の主な役割は拠点だ


誰かが撤退戦でも繰り広げているならそいつを受け入れる準備をしておかなければいけない


あいつらの居場所はこのアプリを使って確認できる


GPSでグループのメンバーがどこにいるかが分かるというものだ


正直、こんな非常時でも無ければ自分の居場所が知り合いにバレるアプリなんて使いたくない


神柱だけならばかわまないが、他にも多くのグループのメンバーにバレるのは困る


この侵攻が終わったらすぐにグループから出るか


よし、現状は脱落者・離脱者共に出ていないな


概ね予定通りの動きをしている


イレギュラーと言えば伏原の位置が予定と少し違うことくらいだが、まあ、許容範囲内だ


特に、篠原が完全に予定通り動いてるのが良い


なんだかんだ言ってあいつが最大の不安要素だったからな


須斎に関しては、あいつの装備の発動中は発振器からの情報も遮断してしまうからこのアプリは使わせていない


というか、場所がバレるものは持たせていない


作戦の進行具合を確認したいあまり隠密行動で居場所がバレる、というのは本末転倒だからな


まあ、作戦は予定通り進んでいるようだし、簡易拠点を作りながらもう少しここで様子を見るか


――――――――――――――――――――


あーあ、ちょっと囲まれちゃったな


予定とはちょっと場所がズレてるからな……


でも、囲まれてる状態なら無理に戻らない方が良いのかな?


『ストック』だってもう残り少ないし、慎重に立ち回った方が良いでしょ


さてと、慎重に立ち回るとなると切り替えていかないとな


深呼吸をして、意識を切り替える


とは言っても、少し集中力が上がる程度だが


が少ないからここらで一つ飲んで補給しておこうか


ポケットから丸薬を一つ取り出して口に入れる


……よし、これでしばらくの間は暴れられる


準備もできたことだし、早速暴れようと飛び出した


「居たぞ!」


速攻で発見されるのは流石に予想外だった


威嚇射撃なのか撃ってくる


……おい!当たったぞ!今の!


自衛隊員が自国民に銃を当てていいのか?!


まあ、ちゃんと「使っといた」おかげで逸らして体には当たらなかったから良かったものの……


よし、上手く撒けた


衝動的に飛び出してしまったが、やはり周りの確認をしてから動いたほうが良いな


ちょっと負担は大きいけど、をやるか


「……嘘でしょ……」


僕にしか出来ない特殊な索敵方法を使うと、とんでもない事実が判明した


「十八人……」


それが、僕のいる場所を取り囲んでいる敵の数だった

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