暑い
さっき刀の温度を上げたときの影響が残ってるのか?
刀と体はそこそこ離れてるから大丈夫だと思ったんだけど
頭が回らない
まだ相手はひとり残っている
城崎一人でもいけるかもしれないが僕が参加したほうが勝率は上がるだろ
(抜刀)
世界は変わることはなかった
(おいおい……)
まさかここに来て装備の使用制限か?
持ち主の肉体に大きな負担がかかるときは自動的に発動を停止する、とか?
なら、今は回復を待とう
後数十秒もすれば今よりはマシな状態になっているだろう
そこまでは城崎に耐えてもらうしかないけど、その時間くらいなら城崎は耐えれるはずだ
そう思って城崎の方を見る
「左手」
左手が、無い
押されてるのか?
片手で数十秒も持ちこたえられるのか?
これはもしかしたら終わりかもしれないな
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「走れるか?」
「厳しい、歩くのも大変」
やっぱりさっきの消耗がある
でも、急がないと
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
やっぱり神柱はまともに動けないか
あらかじめ支配しておいた服を操作して止血はできた
だが、俺の体で腕というのは普通の人間がつける優先順位よりも上にある
手袋は腕にしかつけれな
つまり、片腕を失っは俺は戦闘力が半分になっている
いや、血がなくなったことで継戦能力が下がったから半分どころの騒ぎじゃないな
須斎が戻って車で持ちこたえられるか……
いや、そもそもこいつの装備が俺の予想どうりなら須斎の装備では相性が悪い
神柱を連れて退却することも視野に入れないとな
だが、まだ手がなくなったわけではない
ここは寮の一階だから下に十分なコンクリートがある
そして、今その大部分を「支配」した
「本当はこうしてから攻め込みたかったんだがな」
「……何かしら」
地面からコンクリートを巻き上げる
そして、卵のような形にして防御する
そう、神柱との模擬戦で見せたアレだ
「へぇ、面倒ね」
この状態になると視界が制限される
「支配」したものから外を把握することはできるが、やはり完全に、というわけにはいかない
それに、メリットである防御力ですらあの爆弾ナイフならすぐに破ってしまうだろう
今は空中で迎撃できているが、腕の痛みのせいで集中力が切れてきた
撃ち落とせなくなるのも近いだろう
そして、もう「壁」に攻撃をくらい始めた
威力が高かったのか、一撃で俺の本体が露出する
これはもう「逃げ」だな
俺は神柱を回収すべく、あいつの倒れている方に向き直った
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
いた
倒れている神柱と片手を失った城崎
助けないといけないのに、体が動かない
さっき無茶をしすぎた
「蒼井、行ってきて」
もうここまで来たら私は必要ない
現時点で動ける蒼井が城崎たちを助けにいくべき
「いいのか?お前は動けないだろ。私が行ってしまえば歩くことすらできないんじゃないか?」
「大丈夫、行ってきて」
ここで全滅したら歩けなくても歩けても大して変わりない
「……わかった」
〜〜〜〜〜ー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
須斎?!
あいつ、一度帰ってからここに来たのか?!
まあ、今は戦力が増えるのはありがたい
正直俺一人では怪我も考えると時風に対しては不安なところもあった
時風がナイフを投げるが、須斎の簡易薙刀によって弾かれる
そして、壁に当たった辺りで爆発した
意外と相性がいいのか?あの二人
「城崎!まだ味方かは分からないが、拾った相手も連れてきた!戦力にはなるはずだ」
さっきの敵か
信用はできないが今はそんなことを行っている場合ではない
直後、会議室においてある椅子が飛んできた
だがやはり時風には当たらない
「う〜ん、初撃当たらなかったのは痛いな〜」
こいつが例の戦力か
まあいい
この人数なら神柱が起きるまでの時間稼ぎはできるだろう
ここに神柱が加われば4対1だ
人数有利をそれだけ付けておけばそうそう負けないだろう
一人で4人分の攻撃を防ぎ切るのは無理というより無茶だ
となれば相手は早めにこちら側を一人でも減らそうとしてくるはずだ
実際、今ナイフを投げてきた
だが、そのナイフは力学で考えるとありえない方向に飛んでいった
これがおそらくあいつの装備の能力
重力あたりを操っているのか?
「じゃあ、防御は僕が担当する」
かなり小声でそいつが言った
なるほど、随分と人数有利は取れたな
火力担当がいないのは少し不安だが
│数の暴力《いっせいこうげき》でも始めるとするか
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なんか城崎のところに随分と人が集まってきたなー
この人数なら行けるんじゃないか?
さっきから時風の攻撃回数も減ってきてるし
「さて、見てばっかってはちょっとサボりすぎだよね」
膝を押して立つ
っと
頭がクラクラするな
体感的には装備の効果使えるのは後一回かな
「遠投は自信ないけど」
まあ、なんとかなるでしょ
城崎と時風の戦闘で生まれた壁の破片を僕は時風に向かって思いっきり投げた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この人数は流石に厳しいわね
ちょっと逃げさせてもらおっと
……あれは
気づいたときには私の目の前に瓦礫があった
(当たる!!)
身をよじって躱す
が、それでバランスが崩れる
あれ?
頭が回らない
首になにか冷たいものが当たってるけど
あ、そうか
もう頭に血が巡ってこないんだ
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