人類戦線

さむほーん
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第三十話 戦いの後で 須斎side

公開日時: 2021年12月16日(木) 10:16
文字数:2,211

ふう、久しぶりにベッドのある部屋で寝れた


「今の時間は……」


6時40分


美優に言われていた会議の時間まではまだ時間があるな


せっかくだし、久しぶりに素振りと踏み込みの練習でもするか


――――――――――――――――――――


(左、右、左、右)


ダメだな


しばらく実践でしか使っていなかったから少し型が乱れている


まあ、ここ数日まともに練習も出来ていなかったから仕方ないと言えば仕方ないんだが……


感覚を戻せるように、会議が始まるまではもう少し練習してから行くか


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「うん、大分感覚は戻った」


もう時間だし、行くか


歩いていると、奥の方からもう一人来ているのが見えた


確かあの人は、今の生徒会長の伏原秋野先輩、だったはずだ


うちの学校は後期からは生徒会長が2年生になるから生徒会長のあの人は2年生になる


「え〜〜っと、君が弘岡美優ちゃん?」


「いえ、須斎です」


あまり美優とは似ていないと思うのだが


「なるほど、じゃあ会議場所はこっちでいいんだね。それと、さっきら今にも僕に攻撃して来そうなの、やめてくれると嬉しいんだけど……」


当たり前だ


学年集会などで数回しか見たことのない人間が、大会などで結果を出している私の名前だけならまだしも、美優の名前を知っていたら警戒もする


「一応城崎君からここで話すことを言われてたからこの場に来たんだけど。彼もちょっと問題児なところあるし伝えてなかったのかな?」


聖のことも知ってはいる、か


一度あいつに確認しておきたいが、こいつから目を離すのは嫌ではあるな


「おい、お前ら」


「城崎、こいつは何なんだ?」


少しくらいは事情を説明してから呼んでくれ


「ん?知らないのか?その人は今の生徒会長の伏原秋野だ」


「それくらいは知っている。なぜ呼んだんだ?」


協力関係を築くなら、わざわざこの本拠地まで呼ぶ必要はないだろう、という意味も込めてそう言った


「時風の勢力も死んだし、一度関係を作っておきたいと思ってな」


「そうだよ、学校内で争っても良いことないよ」


「……わかった」


あまり納得はできないが、そう答えた


聖の話だとこのまま協力して行くからどうにかしてもらうしかないんだが


「こっちだ。須斎はもう知っているだろうが、神柱は今いないから、それを前提にして動いてくれ」


「え?Kくんいないの?」


伏見の奴、独特な呼び方をするな……


「そこらへんの細かい所も含めてこれから話をする。いいから付いてこい。お前が変な動きをしたらすぐに敵対したと見なすからな」


どうやら、完全に仲間になったと言うわけでは無いようだ


そういえば、美優がまだ居ないな


「聖、美優はどこにいるんだ?」


「もう先に着いて向こうで待ってる。あまり待たせすぎるな」


なるほど、だから少し急いでいたのか


「でもさ〜、僕のところの勢力を仲間に入れてどうするのさ?時風から何人か捕虜くらい取ってるんだろ?そっちと話た方が有意義だと思うな〜」


そういえば、時風のところで取った捕虜もいたな


流されやすいやつみたいでどうかとは思うんだが


「そうだ、聖。あのとき独房に入れておいたやつはどうなったんだ」


向こうを向いたまま、表情を変えているのかすら分からない声で城崎が答える


「一応生徒会長だし、ないも知らないやつへのカリスマは何故か高い」


こいつ……あまりカリスマ性がありそうには見えないんだが……


「それと、例の捕虜はまだ『VIPルーム』に置いてある」


――――――――――――――――――――


「それじゃあ、会議を始める」


机を話しやすいように並べ、城崎を議長の位置に置いて会議が始まった


「一応紹介しておくと、ここにいるのが生徒会長の伏原章乃だ」


「どうも〜。はじめまして〜」


少し美優が眉にを寄せながら


「ちょっと黙ってて」


と言う


どうやら、あまり相性は良くないようだ


「そして、一人だけ画面から参加してているのが篠原進。元々時風についていた生徒会書記だ」


すると、SOUND ONLYと書かれた画面の向こうから声が聞こえてくる


「なあ、せめてそっちに行くこと位は許してくれよ。会議でも何も見えなくちゃ話しにくいって」


「お前はすぐにその辺りの道に捨てられないだけ幸運だと思ったほうがいいんじゃないか?」


どうやら、まだ独房に入れられているようだ


恐らく、城崎が左手に持っているスマホで向こうの様子を確認しているのだろう


「紹介も終わったし、本格的に会議を始める」


――――――――――――――――――――



今回の会議はすり合わせが中心となった


その結果、誰がどのような役割を担当するのぎ大体決まった


まず、ここには居ない神柱が中心となって美優も加えて他の場所を制圧する


私や聖、伏見生徒会長は内部の調整を行い、それが終わり次第私、伏見会長の順に制圧に参加する


美優は基本的に篠原の監視だ


それにしても、聖の話では神柱は再生医療の研究所に行っているらしいが、どうやって話をつけるつもりなんだろうか


――――――――――――――――――――


「それは現地で調達しろ。……分からない?配管は折って重ねれば梯子になるし、交番で護身用の警棒やらは取れるだろう。何も殺し合いに行けと言ってるんじゃないんだ」


「じゃあどうするのか?だから話をつけて俺たちに協力するように言えばいいだろう。多少の利権なら渡してもいい」


「話の付け方か?そんなもの自分で考えろ」






「……全く、電話代だって無料ただじゃないんだぞ」


そう言って、通話終了の赤いマークに指を持っていった

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