76. 初級冒険者ダンジョン
初級冒険者ダンジョンに挑むことになった私たちは、そのままそのダンジョンを奥に進んでいたのです。するとそこには緑色の肌をした巨人が私たちの目の前に現れたのです。
身長は3m程でしょうか?明らかに今まで倒してきた普通のゴブリンとは違うことがわかる。その姿を見て皆息を飲む。ロゼッタ様ですら警戒してるなんてこの緑の化け物一体何なのです!
「グオォオオ」
こちらを威嚇するように叫ぶ緑の巨人、その目は爛々と輝いているのです。まるで獲物を見つけたように。そしてその巨体から考えられないスピードで私たちに飛び掛かってくるのです。
「避けるのです!」
「きゃっ!?」
私はミルディとソフィアにおおいかぶさるようにその巨体をかわすのです。ドガアァン!! 次の瞬間、地面が陥没しているのです!なんて力なのです……!なんでこんな凶暴なのがこんな初級冒険者ダンジョンにいるのですか!?
今の状態だとまともに戦えないです。どうするのです…。それに相手もまだ余力が残っています。このままではいずれ全滅してしまうかもしれない。ここは逃げるしかないのです。しかし逃げ切れるかどうか……。
そんなことを考えている間にも次々と襲い掛かる緑の巨人。それを次々となんとかかわしていく私たち。だが反撃できない状態が続くせいで徐々に追い詰められていくのです。
「きゃあっ!!」
まずい……そう思った時、突如横にいたソフィアの悲鳴が上がったのです。見ると彼女が巨人の拳を受け、吹き飛ばされているところでした。慌てて彼女を抱き留めて助けることに成功するのです。
そのまま壁際まで下がりポーションで回復するのです。ソフィアは咄嗟に風魔法でバリアを張ったみたいなので大事には至らなかったのです。良かったのです。
「ごめんなさいアリーゼ様。足を引っ張ってしまって」
「大丈夫なのです。問題はこの状況をどう打開するかなのです!」
悔しそうな顔を浮かべながらも自分のミスを認めるソフィア。それをフォローしつつ考えるのです。
間違いなくあの緑色の奴が異常な強さを持っている証拠なのです。他の普通のゴブリンとは比べ物にならない程の魔力量があるはずなのです。ここはロゼッタ様の魔法が鍵を握るのです!
ロゼッタ様の放つ爆炎魔法の威力なら、あるいは一撃で仕留めることができるかもしれません。それまで何とか時間を稼がないとなのです。
私が決意を固めてる間に、ロゼッタ様が前に出た。その手には杖ではなく魔法石のようなものを持っています。あれは何なのです!?
「ロゼッタ様。まだ試作段階だからね?」
「構わん。どれほどの威力か試すのじゃ!」
そうミルディがロゼッタ様に伝え、持っている魔法石を手に何か呪文を唱えると、ロゼッタ様の持つ魔法石が光り輝きだす。そして手に収まりきれないほどの大きさになるのです。
やがて光が消えるとその形が変化していたのです。大きさ的には子供が遊ぶボールくらいでしょうか?かなり大きくなっているのです。一体これはどういうことです?
「ソフィア!魔法バリアを頼むのじゃ!」
「わかりました!」
「食らうが良い……爆炎魔法・バーニングブラスト!!」
そのボール玉くらいの魔法石を得意の爆炎魔法に変えその緑色の巨人に向かって放つのです!
そしてそれは真っ直ぐその緑色の巨人に命中するのです。
ドゴーンッ!!!!! すごい音と共に、辺り一面を真っ白な煙が包み込んでいき、視界が完全に遮られてしまったのです。でも間違いなく直撃したに違いないのです!
しばらくしてようやく煙が晴れてきた時には、そこには大きなクレーターができていたのです。そしてそこに倒れ伏している緑色の巨人。その姿を確認して私は思わず叫んでしまったのです。
「おぉーっ!!凄いのです!!」
「こんなもんじゃろ」
頭を掻きながら照れ笑いをするロゼッタ様。いやまあ確かにかなりの威力ではあったのです。これはあの魔法石のおかげなのです?
私はミルディに聞いてみることにするのです。
「ミルディ。これってただの大きな魔法石ではないのですよね?もしかして違うものだったりするのです?」
「うん。一応さっきの魔法石は攻撃魔法を増幅させるブースト的な魔法アイテムなんだよね。」
なるほどそういうことなのですね。それでこんな威力になったというわけなのですね。しかしここまでの威力に魔法錬金出来たのはミルディの魔力と技術のおかげなのですね。
「まぁたぶんロゼッタ様だから暴走させずに使えたんだと思うけどね。さすがは大魔女様だよ」
「誉めてもなんも出んぞ?」
「素直じゃないなロゼッタ様は。アリーゼと一緒だね?」
ロゼッタ様とは一緒にしてほしくないのです!もしかしたらロゼッタ様も同じこと考えているかもですけど。こうして私達は無事討伐に成功しました。これでやっとダンジョン攻略完了なのです!
さて、無事にゴブリンダンジョン(?)をクリアし、私たちの実力もある程度証明できたと思うのです。
とりあえず街にもどらないとなのです。ここは初級冒険者ダンジョンなので、特に目立ったお宝はなかったのです。
少し残念なのです。ちょっとだけしかアイテムも出なかったのです……。
次のダンジョンでは、財宝や武器を手に入れたいものなのですね。何事もなく私たちは初めてのダンジョン攻略を成功させたのでした。
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