【最強知識の聖女様】私はただの聖女なのです。本の知識は優秀なのです! ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫
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57. ワイバーン討伐 ~前編~

公開日時: 2022年7月7日(木) 08:03
文字数:2,426

 57. ワイバーン討伐 ~前編~




 マジカリア鉱山のドラゴンの討伐は難航しているようなのです。やはりドラゴンは一体だけではなく複数体いるのです。マジカリアの騎士団たちはそのドラゴンを討伐するためにほぼ出払っているのです。そして問題が起きてしまい私たちはギルフォード様にマジカリア城へ呼び出されるのです。


「ふむ。近郊の森のワイバーン討伐をワシにという事かギル坊?」


「頼れる方はもうロゼッタ様しかいないのです。先ほど話した通り我が騎士団は今少ない人数で任務をこなしている状況です。」


「それは大変なのです!ぜひお引き受けするのです!ロゼッタ様!」


「師匠。ボクも頑張るから。」


 私とフィオナの言葉を聞いてロゼッタ様は深く頷きながら了承をしたのです!さぁ、忙しくなるのです! そして宿屋に戻り森のワイバーン討伐ための準備をするのです。


「えっと…包帯、ポーション、あとはミルディのナイフ、ランタン、野営の時の読書のための本……」


「おいアリーゼ。お主はキャンプにでも行くつもりなのか?」


「備えあれば憂いなしなのですロゼッタ様!準備はしっかりやるべきなのです!あっロゼッタ様のおやつも持っていくのです。キャンディーでいいのです?」


「子供扱いするでない!まぁ…どうしてもというのなら…キャンディーを持っていくがよい。」


 結局ロゼッタ様は食べたいのです。そんなところもかわいいのですが。そんなことを思っていたらフィオナも準備していたのですよ?ミルディがいないぶん荷物を分けて持たないとなのです。どうせロゼッタ様は荷物をもたないのです。




 翌日私たち三人は街を出てまず近くの森の中に入っていったのです。ここは普段あまり人がこないのかとても静かだったのですが……奥に進むにつれ木々は増え暗くなっていきました。


 私は持ってきたランタンを取り出して辺りを照らしてみるとそこはもう真っ暗な空間になっていました。これでは道案内がないと絶対に帰れないのです。私が不安そうな顔をしているとロゼッタ様がその様子を見て話し始めるのです。


「アリーゼ心配するでない。入り口から魔法印を木々に刻んでおる。迷うことはないのじゃ。」


 おぉ~さすがはロゼッタ様なのです。これで安心して進めるのです。それを聞いた私は心の中でガッツポーズをとるのです。しばらく歩いていると少し開けた場所にでたのですよ。そこには数体のホーンラビットが居たのでロゼッタ様とフィオナでサクッと倒したのです。


 そのまま順調に進むのですがだんだん嫌な雰囲気になってくるのです。私はなんだか嫌な予感を感じたのです。すると先頭にいたロゼッタ様が急に立ち止まるのです。そして耳元に手をあてる仕草をしていました。何が起こったのかわからない私はとりあえずロゼッタ様に近寄ったのです


「何かあったのですかロゼッタ様?」


「静かにするのじゃ、向こうの森の奥の方から魔物の咆哮が聞こえるのじゃ。」


「本当に師匠?ボク聞こえないけど」


 そう言って私を引っ張りながらロゼッタ様はどんどん進んでいくのです。私も慌ててついて行きますがフィオナは置いていかれそうになるので私のローブの裾をつかんでいるのです。


 森の奥に進むとそこにいたのはかなり巨大なクマみたいな魔物でした。そのクマのような大きな魔物は全身から血を流しており息も荒ったのですでに満身創痍の状態でした。


 その魔物はこちらに気がつくとその巨体からは想像できないくらい素早い動きで襲ってきたのです。そしてロゼッタ様に突っ込んできたのです。


 しかしそれを予期していたかのようにロゼッタ様は片手を振りあげると同時に魔法陣を展開しそこからいくつもの炎の鎖のようなものが飛び出してその魔物の手足に巻き付いたのです。


「炎拘束魔法・フレイムバインド!今じゃフィオナ!」


「任せて師匠!やあぁぁぁぁぁぁ!」


 さらにそれと同時に横から来たフィオナがその手に持つ剣でその魔物の首を斬り落としたのです。


 一瞬の出来事に私は唖然としてパチパチと拍手をしていたのです。ロゼッタ様もフィオナも凄いのです!しかもあの巨大な魔物の首を落とすって…フィオナ見ないうちに頼もしくなっているのです!


「この魔物の傷……おそらく他の魔物との縄張り争いの傷じゃ……まだ奥に何かがおるぞ……!?」


 そうロゼッタ様が言った瞬間、それは私たちの目の前にあらわれるのです。それは一見ドラゴンのようでしたがその翼は小型で、その体は鱗ではなく毛に覆われていて、尻尾は爬虫類のような形をしており先の方が二つに分かれそれぞれヘビのようにうごめいていたのです。それはとてもグロテスクで気持ち悪い見た目だったのです。


「あの魔物が……ワイバーンじゃな!だがやることは変わらん!ワシは奴の動きを止める!フィオナは隙を見て攻撃をするのじゃ!アリーゼ!お主はサポートじゃ!」


 サポートと言われてもなのです……。私はいつも通り意識を深く潜る。そして今必要な本を探しそのページをめくる。


【なるほど納得!ワイバーン大事典】

 1.頭を攻撃すると死にやすい。頭部は硬いので斬撃系よりも打撃系の武器のほうが有効。

 2.火属性にめっぽう弱い

 3.尾の攻撃は毒を持っているため注意が必要

 4.背中に乗ると振り落とされるため注意すること。翼は風属性により飛行能力を上げる

 5.空腹だと狂暴になり手がつけられなくなる。最も危険

 6.好物は鶏肉、特に胸肉

 7.卵は栄養価が高いので討伐したら持って帰ろう

 8.ワイバーンの肉は超絶品


 ふむ。まずは動きを封じればいいのですね。ならあれが使えるのです。私は鞄から小さな瓶を取り出し蓋をあけて中に入っている液体を地面にばらまくのです。


 すると地面が溶け始めドロドロになるのです。これは以前作った純銀の聖水のあまりの【聖水】なのです。本来は魔物避けの用途として使われるものですが今回は攻撃にも使うのです。


 ワイバーンは強敵なのです。でも大丈夫。ロゼッタ様もフィオナも凄く強くなっているのです。私はそう確信しているのでした。

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