65. 賢王の血縁者
私たちが「ミスリル」を発掘するために鉱山に着くと、そこには管理人のガイルさんともう一人女性がいました。見た感じミルディと同じぐらいの年齢でしょうか?可愛らしくて美人さんです。彼女はペコリとお辞儀をすると口を開くのです。
「お待ちしていました。初めまして宮廷魔法士のソフィア=エルヴァンド=マジカリアと言います。今日はよろしくお願いします」
ん?今なんて言ったのですかね。ソフィアなんとかって……まさか!いやそんなことないはずなのです。でも髪の色は緑色だし瞳の色は翡翠色で同じ……。それにこの容姿……似すぎなのです!私は恐る恐る聞いてみることにしました。
「あの……つかぬことを聞きたいのですけども……」
私がそう聞くと少しビクッとする彼女……やはりそうなのですよね!?
「なんですか?何でも聞いて下さい」
笑顔で応える彼女に私は思わず大きな声で質問してしまったのです。
「あのあの!もしかしなくてもあなたは……ギルフォード様の!?」
「はい。お察しの通りです。私はあの賢王ギルフォードの血縁です。」
やっぱりそうなのですね!!どうしてここにいるのですか!?というか、どういう経緯で私たちの発掘を手伝うのです!?混乱する私を見て彼女が続けて話してくれました。
「ギルフォード様の古きお知り合いの方であの大魔女ロゼッタ様がいると聞き、他国遠征から急いで戻って参りました。どうしても一度お会いしたくて!」
「ワシに?」
「はい!私は宮廷魔法士の見習い。以前ギルフォード様より聞いたことがあったのですがとてもすごい方だと伺っていたもので、是非一度会ってみたいと思っていました。それがまさかこんな所で叶うとは夢にも思わなかったです!」
ロゼッタ様の手を握り手をブンブンと上下に動かす。となると彼女は王族なのですよね?王族のソフィア……なんか凄い組み合わせなのです。
とりあえずソフィアも連れて鉱山の中に入る。でも王族なのになぜ宮廷魔法士をしているのです?不思議なのです。そう思っているとロゼッタ様がソフィアに聞いてくれるのです。
「ソフィアは何故宮廷魔法士をしているのじゃ?お主はこのマジカリアの王族じゃろ?」
「はい、私はマジカリアの王族でこの国を継ぐものの1人です。賢者ギルフォードはもう長くありません…だからギルフォードの子孫たちは各々魔法の知識をつけているんです。賢者の名に恥じないように」
「それはお主の意思なのか?」
「はい!これはマジカリアの為になることだから私としても本望です」
そう言って笑う彼女。何だかカッコイイのです。ミルディやフィオナなんて目をキラキラさせて聞いているのです。こういう子がモテると思うのですよね。そう思いながら私たちは奥に進んでいくのです。
私たちが鉱山に入って3時間が経つ頃、とうとう見つけたのです。目的の鉱脈を!これで「ミスリル」の調達が出来るのです!早速作業を開始することにしたのですが、その前に準備があるのです。
まずはミルディの指示に従うのです!私たちは発掘に関しては素人なので、魔法鍛冶屋のミルディに任せることにしたのです。
「ミスリルを掘るのはあたしがやるから。」
ミルディが自信満々に言うとフィオナも同意してくれるのです。
「ボクも頑張る!」
「ここは若い者に任せて、少し休んでおるかの。」
「それならロゼッタ様!私に魔法に関してのお話を聞かせてください!」
こうして2人はミスリル発掘の準備を始め、ロゼッタ様とソフィアは話すみたいなのです。私はその間鉱石を集める係なのです。
しばらくして、ツルハシを持ったミルディが戻ってきたのです。かなり深くまで掘り進んだようなのです。これならたくさん取れそうなのです! そしていよいよ発掘を始めることになったのです。凄く楽しみなのです!
「さぁー行くよ〜!!」
「はいなのです!」
ミルディが大きな声を出すと同時にツルハシを振り下ろす。すると今までよりもたくさんの石が落ちてきたのです!どうやら当たりだったようでテンションが上がるのです!
それから何度もツルハシを振るい落ちてくる石をどんどん運んでいくのです。でも目的の「ミスリル」はまだ見つからないのです。
「おかしいなぁ……。こっちじゃないのか……。仕方ない。少し休憩して今度は別のルートを掘ってみようか……。」
「うん。そうしようボクもつかれちゃったよ」
中々見つからないのです。さすが「ミスリル」なのです!ミルディやフィオナを見ているとただ鉱石を拾っているだけなのが申し訳ないのです。何かいい方法はないのですかね?
私はそう考えていつものように意識を深いところまで潜る。そして一冊の本を見つけページをめくる。
【なるほど納得発掘大辞典!~稀少鉱石編~】
1.魔法陣を書くことで魔力を込めた時に自動的に反応する。(魔法刻印)
2.最後に刻印通りに魔法を発動させる。
3.但し、魔法適性が無いと出来ない技術である。
つまりロゼッタ様やフィオナには無理と言う事なのです……悲しいのです。ん?そういえばソフィアは宮廷魔法士なのです。私はソフィアに聞いてみることにする。
「あのソフィアって魔法属性は何なのですか?」
「私ですか?土属性と風属性ですよ」
2属性持ち…なんともまぁ豪華なのです。さすがは賢王の血縁なのです。
土属性は文字通り地面に干渉できる属性ですが、どちらかというと戦闘向けではなく、土木系の仕事などで活躍することが多いですが、中には土属性で家を作る人もいるとかいないとか…… 風属性は空気の流れに関与できますがこちらもやはり戦闘向きではないので、主に移動用で使われる事が多いですね。でも風の刃などで攻撃できたりもするので侮れないです。
私はそれを聞いてソフィアにさっきの本の内容を伝えるのです。すると笑顔でソフィアは了承して、魔法刻印を使うことにしてくれたのです。ソフィアは早速作業を開始するのです! 地面に手をかざし
「魔法刻印・起動・探知」
彼女がそう呟くと地面が光だし、しばらくして光が収まるとその場所に銀色に輝く光の魔力が溜まる。
それを見た私たちはそこをツルハシで掘ると…あったのです!「ミスリル」!これでやっと目的達成なのです!しかも1発なので大成功なのです!ソフィアの魔法で私たちは「ミスリル」を手に入れることが出来たのです!
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