108. エピローグ
私は今旅立ちのために荷物をまとめているのです。無事セントリン王国とランバート王国の戦争も止め。新しい国王としてライアン王子が国王になったのです。本人は凄く不安がってたのですけど、でも大丈夫なのです。マルセナ王女も一緒なのですから。
「アリーゼ。準備終わった?」
「ミルディごめんなのです。もう少しかかるのです。それよりロゼッタ様はもう起きてるのですか?」
「ううん。今フィオナとソフィアが起こしにいってるよ。相変わらずだよねロゼッタ様は。」
そうなのです。あの人は朝起きるのが本当に遅いのです。誰かが起こさないといつまでも寝てるような気がするくらいなのです。
「それより昨日のマルセナ王女幸せそうだったなぁ…綺麗なドレスだったし。マルセナ王女本人も美人なんだけどさ。あたしもいつか着たいなぁ」
「ミルディもそんな事言うのですね?まるで女の子みたいなのです。」
「失礼な!あたしは女の子だ。そう言えばカトリーナ教会の聖女様って不在になるんでしょ?大丈夫なの?その……アリーゼ戻ったりしないよね?」
「心配しなくても戻らないのです。ランバート王国の聖女メアリー様がカトリーナ教会に後任の聖女が来るまで兼務してくれるそうなのです。代理なのですね。」
ミルディは私の言葉を聞くとほっとしてるみたいなのです。全く、心配性なのです。まあ確かに聖女がこの短期間で二人ともいなくなると言うのはあまり良くないとは思うのですけどね…。
私は荷物をまとめ終わったので宿屋の外に出るのです。そこにはまだ寝起きのロゼッタ様とフィオナとソフィアが待っていてくれたのです。
さあこれから新たな旅が始まるのです。また楽しい日々が続くといいのです。でもそう言えばまだ行き先を決めていなかったのです。一応昨日話し合って、北の雪国スノウリア王国に幻のレアメタルを探しに行くか、南のエスタミラ王国で魔法闘技大会を見学するかどっちかだったのです。うーん。迷うのですね。
「おい。スノウリアに行くのじゃろ?エスタミラは高温多湿地帯。乙女の肌には天敵じゃ。ベタつくのは嫌なのじゃ。」
「レアメタルって新しい武器が造れるよね?あたしの鍛冶スキルも上がるかも!いいよねアリーゼ?」
「そうですね……」
すると珍しくフィオナが私に意見をしてくるのです。
「アリーゼ様。ボクはエスタミラの魔法闘技大会を見学したい!見学してボクは強くなりたいの!」
「あの…私も見学したいです。早く魔法技術を向上させるには必要なことだと思います。お願いしますアリーゼ様」
「確かに……」
えぇ…困るのです…なんでこんなに綺麗に分かれてしまうのですか…大聖女ディアナ様の意地悪なのです。でもどちらにしても選ばないとなのですね。どっちかには行かないとなのです…私が選んだ方に行くことになるのです。選ばれなかった方は傷つくのです……。
ふといい考えが思い付いたのです。私は手をポンッと叩く。前に本で読んだのです。これなら大丈夫なのです!私はポケットから一枚のコインを取り出す。
「それならこのコインで決めるのです。表なら北のスノウリア王国でレアメタル探し。裏なら南のエスタミラ王国で魔法闘技大会の見学。それでいいのですね?」
みんなは私の意見に賛成してくれる。私はコイントスの準備をする。そのコインにみんなは注目してるのです。その顔を私は見る。
「アリーゼ表だしてね!」
ミルディ。私がカトリーナ教会を追い出されて一人旅の最初に一緒についてきてくれた。怖がりだけどいつも私の側にいてくれたのです。本当に心強い親友なのです。ありがとうこれからもよろしくなのです。
「ワシは暑いのは嫌じゃからな!」
ロゼッタ様。怒ると怖いけどいつも私たちを爆炎魔法で助けてくれて導いてくれる。時には厳しく、嫌な役回りをしてくれるけどツンデレの可愛いところもあるのです。これからも頼りにしているのです。
「ボクはアリーゼ様を信じる!」
フィオナ。最初は泣き虫で弱虫だったけど、今は立派な魔法剣士で戦闘も安心して任せられるのです。これからもみんなの妹分として成長していく姿を見せてくださいなのです。
「もっと強くなりたい…お願い裏が出て」
ソフィア。いつも冷静で素晴らしい魔法でみんなを助けてくれる。意外に戦闘に積極的なのもいいところなのです。まだ付き合いは短いですけど、これからも賢者の血縁者として色々な魔法で助けてくださいなのです。
あの時から私の旅は始まった。「聖痕」が消えカトリーナ教会を追い出されて。こう思ったのです。聖魔法?そんなの知らないのです!と。それでもみんなと出会い私は「聖女」として存在している。本当に私は幸せ者なのです。これから先、どんな困難が訪れてもみんなとなら必ず乗り越えていけるのです。
「アリーゼ?」
「早くせんか!たかがコイントスくらい」
「もしかして緊張してる?アリーゼ様、深呼吸しよう!」
「自分を信じてくださいねアリーゼ様!」
みんなの言葉に笑みがこぼれてしまうのです。コイントスでこんなに心配してくれるなんて。そして私は息を大きく吸い込み。吐くと同時に叫ぶのです!
「それじゃいくのです!せーの!」
私の親指に弾かれたコインは新たな旅を決めるために雲ひとつない綺麗な青空へ高く舞い上がるのでした。
第1部 完
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