74. ロゼッタ様の特技
無事シェルタバード島に到着した私たちは島にある唯一の街ハーツスターに向かっているのです。とりあえず今日中にたどり着くのは厳しそうなので途中で野営をすることにしたのです。本当に楽しみなのです!私とロゼッタ様は料理の準備をすることにしたのです。
私は持ってきた食材で簡単に料理をすることにするです。こう見えても料理はある程度できるのです。私は聖女なのです。教会にいた時、良く勝手にお手伝いをしていたのが懐かしいのですね。私が料理を始めようとした時ロゼッタ様は私に話し始める。
「アリーゼは料理できるのか?」
「当たり前なのです!私は聖女で女性なのですよ?甘くみないでほしいのです。」
「ふーん。まぁワシはワシで作るのじゃ。お主はメインでワシはスープでよいか?」
「いえ。一緒に作るのです!その方が楽しいのです!」
そうして私たちは並んで調理を開始したのです。ふふん。私の料理の腕に驚くといいのです!私がふとロゼッタ様のほうを見ると野菜を素晴らしい手付きで素早く切っていたのです!
「えぇ!?ロゼッタ様凄いのです!」
「ん?なにがじゃ?ただ野菜を切っただけじゃろ?それよりお主は手が止まっておるぞ?」
意外なのです。ロゼッタ様は料理得意なのです?私の知ってる限りだといつもパンを丸々1つ食べていたイメージしかないのです…。
ん?でもそういえば私とミルディが初めてロゼッタ様の常闇の森の家に入った時も凄く美味しい料理があったのです!
「あの…ロゼッタ様って料理得意なのです?」
「料理に得意も不得意もないじゃろ。レシピ通り作れば誰でも同じように作れる。おっヤルマ芋があるのじゃ、スープをやめて煮込みシチューに変更じゃ。身体が温まり疲労も回復しやすい。」
いや…そんなことはないのでは?それにお芋1つでレシピを変えるのですね…ますますロゼッタ様が凄く見えるのです…。
私はなんだか負けた気分になりつつも調理を再開することにしました。なんだかこのままでは嫌なのです!負けられないのです!これは私の女性としてのプライドなのです!私は意識を深いところまで潜る。そして「世界書庫」から一冊の本を見つけページをめくる。
【ヤルマ芋のシチューを美味しく作る方法】
1.鍋でバターを一欠片入れ溶かします。溶けたバターをお玉一杯分いれかき混ぜたら水を少々足します。
2.弱火にかけ沸騰したらすぐに火を止めミルクを入れ、ひと呼吸おいてからゆっくりと木べらでよく練りながら温めます。ここで手を抜くと口当たりが悪くなるので丁寧に行いましょう。
3.よく混ざったところで小麦粉を入れてさらに掻き回します。この時にしっかりこねてください。
4.最後に塩を加えて味を整えて出来上がりです。
ふむふむ。なるほどなのです。
私はそのレシピ通り料理を作ったのです。ミルクの量が少なめだったので水を増やしましたが結構いい感じになったと思うのです。私は作ったばかりのシチューを小皿に取り分けて味見をしてみるのです。美味しいのです!
ロゼッタ様は今、離れているのですロゼッタ様のシチューをこっそり味見しちゃうのです。すると…えぇ!?全然違うのです!しかも私のより美味しいのです!一体何が違うのですか!?
「どうしたのじゃ?そんな顔をして。」
「何でロゼッタ様のほうが美味しいのです!?何が違うのですか!?」
「ん。それは当然じゃろう。お主はこの世界で最高の料理人が作った料理を食べていると思ってるのか?」
えぇ……どういうことなのです?この世界で一番と言われてもピンと来ないのですが。
「いいかアリーゼ?料理の味にはその地方特有の味付けがある。お主のは一般的な味付けじゃろ?ワシのはこの島の気温に合わせて濃い目に作った。」
「え?そうなのですか?私のと変わらない気がするのです……」
「お主のはまだ暖かい。だがワシのものは少し暖かい気候の中で食べることを考えて少し温度が低いくらいに調整してある。冷めてもおいしく食べれる。これが味の違いじゃよ。」
そうだったのです……確かにロゼッタ様の料理はさっき食べたよりも暖かく食べやすいのですよ。
私は料理に自信を持っていたはずなのにあっさり負けたのがショックだったのですけど……でもそのおかげで気づけたことがあるので良しとするのです!
そして出来上がった料理をみんなで食べることにするのです!しかし薪を拾ってきたミルディとフィオナ、そしてソフィアは首をかしげているのです。
「何で…シチューが2つもあるの?」
「食べ比べ…とかですかね?」
「ちょっとアリーゼ、ロゼッタ様。これはどういう事?」
やってしまったのです。つい熱くなりすぎて同じ料理を大量に作ってしまったのです。するとロゼッタ様がみんなに説明をしてくれる。
ん。おぉすまないのじゃ。ちょっと説明不足な部分があったのじゃ。この料理はな、同じ材料を使って作ったのに味が微妙に違っていてな。それで料理の味の違いは何かということを考えて作ってみたんじゃ。まぁとりあえず熱いうちに食べるのじゃ。」
なぜかロゼッタ様が私をフォローしてくれるのです。ロゼッタ様……。ありがとうなのです!私は感謝しながらロゼッタ様の料理を頬張るのです。
うん。やっぱり美味しいのです!これは悔しいのです!次は絶対に負けないのです!そう思いながら料理を口に運んだのです。ロゼッタ様の意外な特技が見れた日になったのです。
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