52. 鉱山探索
マジカリア王国周辺での魔物の活発化の原因を探るため、私たちはマジカリア鉱山に向かうことにするのです!すると鉱山を管理しているガイルさんという方から鉱山の奥の方で魔物の咆哮を聞いたという報告があったらしいのです。
これはもう調査をするしかないのです!幸い私たちの他にギルフォード様が手配してくれた兵士の方もいるので安心なのです!そして私たちは馬車でマジカリア鉱山にたどり着くのです。
「そう言えば師匠。ミルディさんのために国王様に条件を出すなんて凄いなぁ。ボク尊敬しちゃうよ!」
「ギル坊はワシの弟子みたいなもんじゃ。あのくらい問題にならん。条件ってものじゃなかろう。それにワシの言ったことは本当の事じゃ。ミルディが魔力をうまく使いこなせれば強い武器など錬金釜だけに頼らんでも作ることができるじゃろ。」
「でもミルディのためにっていうのが、ロゼッタ様の優しさなのです!素晴らしいのです!」
「はぁ!?ワシたちの目的はミルディに「ミスリル」製の武器を作って貰うことじゃろ!優しさとかではないのじゃ!恥ずかしい事を言うでない!」
顔を真っ赤にしてロゼッタ様は杖を振り回しているのです。凄く可愛いのですね。
「魔物の咆哮…か。怖いよね。」
「その原因が鉱山の奥にいるのです?」
「おそらく間違いないじゃろう。魔物の活発化、大量発生の異変は何かの魔力が影響してるもんじゃ。」
鉱山の中は思ったより暗くないのです。これならランタンとか必要なかったですね……しばらく進むと何やら広い空間に出たようなのです。そこには……大きな岩があるだけで何もないみたいですね。
でもこの辺りに何かあるはずなのです!私はもう一度調べてみることにします。すると…… ズドンッ!! 大きな音がして地面が大きく揺れたのです!?一体何なのです!?
「アリーゼ様危ない!!」
「え?」
ドゴーン!!! 私の目の前に大きな岩石が落ちてきたのです。そしてその衝撃で足場が崩れてしまいました。どうやら先程の音はこの巨大な岩が落下してきた時のものだったようです。私たちは何とか無事だったのです……
そして私の目に映ったのは先ほどまであった道が消え、目の前にぽっかりと穴があったのです。これじゃ進めないのです…。しかしその異様な気配に気づくのです、周りも静かすぎる…そう思って私が目を凝らすと……土埃の先に信じられない物が見えたのです!
なんとそこには巨大なドラゴンがいたのです。
一体どうしてこんなところにドラゴンがいるんですかー!?しかもあの巨体、多分さっき大きな岩石が落ちてきたのはこいつの仕業なのです。しかしどうするですか?こんなの勝てるわけがないのです。
そんなことを考えていると突然ドラゴンが動き出したのです!まずいです、ブレスを吐くつもりなのです!私は急いでいつものように対抗できる方法を意識を深いところまで潜り探す。そしてその本のページをめくる。
【ドラゴンを倒す方法~上級者編~】
1.強力な魔法攻撃を放つ
2.毒など状態異常にする
3.ドラゴンより強い武器を使う
4.ドラゴンの弱点を攻撃する
5.あとは気合い
6.そしてドラゴンを食べる
そんなのあるわけないのです!!というかドラゴンって食べられるんですか!?とにかくここは逃げるしかないのです。しかしドラゴンはどんどん迫ってきているのです。私はどうすればいいのか分からず動けなかったのです。その時でしたロゼッタ様が私に叫ぶのです。
「下がっておれアリーゼ!爆炎魔法・バーストジャベリン!」
シューン! シュパーン!! 突然現れた強力な魔力で造った炎の槍のようなものがドラゴンに向かって飛んでいったのです。それはドラゴンの眉間に突き刺さり、そのまま爆発するのです。そしてドラゴンは悶え、暴れ始める。
「今のうちに逃げるのじゃ!」
ロゼッタ様の魔法で何とかドラゴンの動きを止めることに成功し必死に入り口に向かって走るのです!こうして私たちは何とか逃げ切ることに成功したのです。
マジカリア鉱山から脱出した後、私たちは急いで王都に戻り、今回の出来事を報告しました。するとギルフォード様は慌てて騎士団とギルド冒険者を派遣してくれたのです。これでもう大丈夫なはずなのです。
それにしてもまさかドラゴンが出てくるなんて思いませんでした。しかもまだ他に仲間がいそうな感じだったのでこれからの調査が怖いのです。とりあえず今は無事に帰れたことに感謝するのでした。
私たちはとりあえず宿屋に戻ることにするのです。これからどうしましょうなのです。鉱山のドラゴンをなんとかしないと「ミスリル」発掘ができないのです。ミルディはお城で魔法鍛冶の修行中ですし……
「アリーゼ。少し行きたいところがあるんじゃが良いか?」
「ロゼッタ様?」
「…その…良ければアリーゼとフィオナも来るのじゃ…。」
顔を真っ赤にしてモジモジしながらそう言うロゼッタ様。私はもちろんですと返すのでした。それから私たち3人は宿屋を出て馬車に乗り都市の外れにある高台に向かったのです。
その高台は都市が一望できる場所だったのです。そしてそこには一つのお墓があるのです。
「お墓…なのです?」
「師匠。誰のお墓なの?」
「それは私の大切な主君の墓なのだ。ルナ=ノワール。この魔法都市の創設者であり、私が仕えた女性です。」
そう声が聞こえる方へ振り向くと、そこにはギルフォード様がいたのです。ルナ=ノワール様のお墓なのですね。
「お主も来たのかギル坊。」
「ロゼッタ様ならルナ様に会いに来ると思ったのでね。もう私もそろそろ天寿をむかえます。こうして生きているうちにまたロゼッタ様に会えて良かったです。」
「そうか……もうそんなに立つのじゃな。今まで良く頑張ったの。ルナも喜んでおろう。」
天寿…賢者の寿命は人間の三倍くらいなのです。魔女は更に倍……ギルフォード様は立派にこの魔法都市ルナノワールを守り続けてきたのですね。
そうして私たちはしばらくの間、魔法都市ルナノワールが一望できる、ルナ様の眠る高台で静かに佇んでいるのでした。
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