31. 緊急討伐
私とロゼッタ様はサンドスライムを討伐するために頑張っているミルディとフィオナを遠くから見守っているのです。状況を確認するとうまくいったようなのです。私はロゼッタ様を見るとソワソワしていますがその顔は少し嬉しそうに見えるのです。素直じゃないのです。その私の視線に気づいたロゼッタ様が言ってくるのです。
「なんじゃ?その顔は?」
「ロゼッタ様は可愛いのです!よしよしなのです!」
私はロゼッタ様の頭をなでなですると杖で叩いてきたのです。多分照れ隠しだと思いますね……あれですね、ツンデレというやつなのです!
そしてフィオナは、サンドスライムを今度はよく見て一体ずつその核を狙い仕留めていく。目的の5体をあっという間に討伐することができたようなのです。遠目で見てもわかるフィオナとミルディは抱き合い喜んでいるのです。
その様子を見た私たちは二人のもとに行くことにしました。二人はこちらに気づいて笑顔を見せてくれましたです!どうも私が思った通り問題なかったようなので一安心したのですよ。それにこの調子なら次のステップに進むことができそうな気がします。
「お疲れ様なのです!フィオナ、ミルディ」
「アリーゼ、ロゼッタ様。サンドスライムを討伐できたよ!」
「はい。よく頑張ったのです!はなまるなのです!」
そしてフィオナはロゼッタ様に話かける。
「師匠。ボク…」
「サンドスライムごときに時間がかかりすぎじゃ。それとまだ踏み込みも甘い。全然ダメなのじゃ。」
「そっか……うん。そうだよね……まだまだ頑張るしかないんだもん。次は頑張るから……そのこれからもお願いします!」
「………世話が焼けるのじゃ。」
フィオナはやる気に満ちた表情をしている。やはり自信を持てたことが一番良い方向に作用しているように見えます。それは間違いなさそうです。
私たちがその場所を離れる瞬間。何かが襲いかかる。私は間一髪ロッドでその攻撃を受け止める。なんですかこいつは!!体長1mはあると思われる大きなトカゲのような姿をしており全身砂色の体をしている。その姿は「砂漠のハンター」サンドリザードだったのです。
動きはかなり早く一撃はとても重いのです。これはまずいかもとは思いつつも油断していた自分の落ち度でもあるため反省することにするのです。
だがこのまま押し切られるのはマズイと思ったとき横にいたフィオナが剣を振り抜く。
「やあぁ!」
その攻撃はサンドリザードにかわされるが、距離をとることに成功したのです。
「フィオナ。助かったのです!」
「うん!」
さて…ここから仕切り直しとなるわけですがさっきの一撃が重すぎることを考えるとあまり時間をかけることもできないと判断し一気に片をつけることにしたのです。
『グゥガァ!』
そんな声とともにサンドリザートは飛び掛かってきたのだがそれをひらりと避ける。それを見たフィオナは追撃を仕掛けるため走りだす。そこにロゼッタ様の声がかかるのです。
「何をしておるかっ!ちゃんと見るのじゃ!」
サンドリザードの尾がフィオナを直撃し地面を転がりながら吹き飛ばされる。
「フィオナ!大丈夫なのです!?」
「うぅ…うん大丈夫…」
「逃げたほうがいいよ!アリーゼ!」
「無理じゃミルディ。サンドリザードの動きは速い、背を向けて離脱するのは自殺行為じゃ。さてアリーゼ、ここで初めてパーティーとしての戦闘になるぞ。理解しておるか?」
はっきり言って戦うつもりなんて全くなかったのですが逃げられませんでしょうし……。覚悟を決めることにするのです!しかもサンドリザードはまだピンピンしていて隙が全くないように見えるのです。
こんな化け物を相手にこれから戦わないといけないのかと思うと考えるだけで憂鬱になってくるのです。それでも戦わないことには仕方ないので、しょうがないですけど……。サンドリザードは爬虫類系の魔物なのです。
「爬虫類系は炎が弱点なのです。丸焦げにするのです!本に書いてあったのです!さぁさぁロゼッタ様お願いしますなのです!」
「バカ者!あの動きを止めるほうが先じゃ!広範囲魔法ならともかくワシの魔法じゃ当たる気がせん。」
確かにロゼッタ様のいう通りなのです。それならいつも通りなのです。私は意識を深いところまで持っていく「世界書庫」に入り、戦う方法を探す。そしてその本を見つけ中のページを開く。
【素早い動きの魔物を止める方法~初級冒険者編~】
1.足を潰すか、行動不能にしましょう
2.麻痺毒などを使い行動を封じましょう
3.捕獲用の網などで拘束しましょう
4.魔道具を使用し捕縛をしましょう
5.動けなくなったところを焼き払い処分しましょう
(ただし上級の冒険者に頼めば簡単に解決してくれます)
……ふむ。どれも難しそうなのです。その間にもロゼッタ様が魔法でサンドリザードを攻撃してくれているのです。しかしその速さでかわされ、当たることはない。
そしてサンドリザードは反撃をしてくる。それをフィオナが剣でなんとか受けとめる始末である。あの図体のどこにそのようなスピードがあるというのだろうか。
一体どうしたら……私はふと昨日の事を思い出し、その時サンドリザードを止める方法を思い付く。
「ミルディ!昨日の魔法の糸を貸してほしいのです!」
「え?わかった!」
ミルディから渡される白色に輝く魔法の糸。私は思い出したのです。「ミルディが作っているものは普通の糸より魔力の通りが良い」ということを……。そして私は更にその場で、自分のローブを脱ぎ袖と袖を結び魔法の糸を縛り付け大きな袋を作る足がダメなら頭なのです!
私の格好を見てなぜかフィオナは真っ赤になり顔を両手で覆っての間から覗いているのですが…私は女なのですよ?
「はぁ!?アリーゼ何してるのよ!?」
「大丈夫なのです。フィオナはサンドリザードの攻撃を受け止めてほしいのです!ロゼッタ様は大きい一発お願いなのです!さぁサンドリザードを倒すのです!」
「アリーゼ様。ボク頑張る!」
「指図されるのは癪にさわるが了解なのじゃ!」
さあサンドリザードさん。丸焦げにしてあげるのです!
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