8. 人の救いかた
奥様への誕生日プレゼントに困っている、アルグラッドさんのために私とミルディは協力をすることにしました。でもどんな人なのですかね?それが分からないと選ぶ基準がわかりませんね。
「アルグラッドさん。奥様の写真とかありませんか?どういう人か分からないと選びにくいのです。」
「そういえばそうだね。ありますか?」
「ああ。そうだったな、俺の妻のミーナだ。」
アルグラッドさんは私たちに奥様の写真を見せてくれました。とても美人なお姉さんだったのです。
そして奥様への誕生日プレゼント選びが始まりました。私は本の知識を思い出して選ぶことにするのです!
お花やお洋服もいいですが、今回は普段使いできるものがいいでしょう。そうなるとバッグでしょうか?でもそれだと安易すぎますし…
うーん、どうすればいいのか悩みのですね。そんな時。私の目に綺麗なネックレスがとまったのです。これは宝石もついていますし、凄い良さそうなのです。これならいいかもしれません! 私がそれを見ていることに気がついたミルディが話しかけてくるのです。やっぱり女性としてこういうものは見逃せないようです。
「へぇ~アリーゼもちゃんと選べるんだ?」
「当たり前なのです。私は聖女なのです。」
「聖女は関係ないでしょ…アルグラッドさんこのネックレスとかいいと思いますけど?」
「…値段を見てくれ。俺じゃ買えん。」
確かに…凄い値段なのです。とりあえずそのネックレスはあきらめる事にし、とりあえずアクセサリーを選んでみることにする。
奥様のミーナさんは清楚なお姉さんって感じなので、あまり派手な物は良くないのですね。シンプルだけど可愛いデザインの物を選びたいところですけど、なかなか難しいのです。
ふむぅ…。
結局悩んで選んだのは髪飾り。色はピンクゴールドでハート形のチャームがついているもの。これを渡せばきっと喜んでくれるはずなのです。こうして私たちは無事に誕生日プレゼントを選ぶことができたのです。
「アルグラッドさん。これで大丈夫ですか?」
「ああ助かった。ありがとな。」
そんなに感謝されると頑張ったかいがあるのです。ここでミルディが更に素晴らしいことを提案するのです!
「ケーキも買って帰ろう!あたしなら凄い喜ぶと思うし!」
そのミルディの提案には賛成なのです。美味しいものを食べればみんな幸せになれるのです!そしてお店に向かうことにする。
ケーキ屋さんで注文をし、出来上がるまで待つことになたのです。その間、暇になったので少しだけ店内を見て回ることにする。
すると不思議なものがありました。
そこには色々な種類の指輪があったのです。特に多かったのは結婚指輪というものみたいですね。私もいつかは欲しいと思っているものですが……聖女なので、まだ早い気がします。もう少し大人になってから買いましょう。素敵な殿方と。
そんなことを考えているとアルグラッドさんが一言呟く。それを聞いたミルディがすかさず反応する。
「そういえば指輪買ってやったことなかったな。」
「えっアルグラッドさん指輪買ってあげてないんですか!?」
「結婚した時は凄い貧乏でな…買うタイミングがなかったんだ」
それはダメなのです!女性にとって指輪は凄く大切なものになるのです!今からでも遅くありません。せっかくなのでミーナさんに指輪も買うのです!
私がそういうとミルディも賛同してくれた。2人で色々見て回りながら考える。どんなデザインがいいんだろうか?やはりシンプルなものがいいだろうか? うんうん悩んでいると店員のお兄さんが声をかけてきた。
アルグラッドさんはミーナさんの写真を見せて店員のお兄さんに指輪を選んでもらう。結果はシンプルなリングにするようなのです。良かったのです。
出来上がりを待っている間、私とミルディはアルグラッドさんと今までの事を話すことにする。教会を追い出されてしまった事、ミルディを助けたこと、鋼細工のこと。話が盛り上がって来たときに選んだ商品が出来上がった。色々話していたらあっという間だったのです。
「ありがとなアリーゼ様、ミルディ」
「聖女として当然のことをしたまでなのです!」
「ミーナさん喜ぶといいですね。」
「ああ。そうだアリーゼ様、これを。」
そういうとアルグラッドさんは、袋の中から貴族紋が入ったブレスレットを私に差し出してくる。
「このブレスレットは?貴族紋が入ってますが…?」
「マールウッド家の貴族紋だ。このシルクナートを抜けて港町クレスタに行くのだろう?昔、港町クレスタのマールウッド家の護衛騎士をしていたことがあってな、もう俺には必要ない。それがあれば港町クレスタまでは身分証の代わりになるだろう。」
「本当にいいんですか?勝手に私なんかに譲っても?」
「なら聖女アリーゼ様。それを返してきてくれないか?俺は返しそびれて困っている。」
そうアルグラッドさんは微笑みながら言った。それならお断りはできなのですね。本当にいい人に出会えて良かったのです。そして私たちはアルグラッドさんと別れる。
「はぁいい事をしましたね!」
「なんかアリーゼの目標って言うのが少し分かった気がするよ。あたしも凄い嬉しい気持ちになったし!」
「ミルディ…聖女の素質があるのです!よし私の弟子にしてあげるのです!」
「それはお断り。あたしはあたしの夢があるんだから。」
そんなことを笑いながら話し宿屋に着き夕飯を食べ寝る準備をする。明日は港町クレスタに向かうことになるのです。ついに美味しい海鮮料理が待っているのです!海鮮!海鮮!私が嬉しそうにしているとミルディが呆れた顔をしている。
「アリーゼは子供だねぇ……顔に出てるよ?」
「仕方がないのです。海鮮を食べるのは聖女の宿命なのです。」
「何が?その貴族紋のブレスレットを返すんじゃないの?それより早く寝なさいよ。夜更かしは美容の大敵なんだからね?あたしはもう寝るからね。」
「分かってるのです。私の方がお姉さんなのです!」
私が頬を膨らましているとミルディは笑いながらおやすみと言ってベッドに入ってしまう。私のほうがお姉さんなんですからね!いよいよ明日は港町クレスタに出発です!楽しみなのです!
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