51. 賢者と魔女
私たちは鉱山の魔物を何とかするために色々話し合ったのですが結局いい方法が見つからず、ロゼッタ様の話の通りにマジカリア城に向かうことにするのです!もしかしてロゼッタ様のお知り合いの方って王族関係の方なのです?それなら納得なのです。
そして私たちは今馬車に揺られてマジカリア城に向かっているのです! この前のソルファス王国では潜入方法を考えていたのが懐かしいのです。今回は聖女リスティ様からもらったカードがあるので門前払いもないので安心なのです!
そんなことを考えていると、隣に座っていたフィオナが私の肩をちょんちょんと突ついてきたのです。私はどうしたのかと思ってフィオナの方を向くと、フィオナは私に小声で話しかけてきたのです。
「あのさ……アリーゼ様ちょっと聞きたいんだけど……」
「どうしたのです?」
「その……どうしても気になって。聖魔法ってどんな感じに使えるのかなって。普通の魔法なら詠唱をするんだけど」
「あぁ~それはですね……想いを紡ぐのですよ。聖魔法は悪しきものから人々を守り、そして癒し救う。そういう魔法なのです。」
私はフィオナに微笑みながら答える。それは「聖痕」を持つ聖女のみが使える魔法…だからこそ今の私には使えないのです。
しばらく馬車を走らせると目の前に大きなお城が見えてくる。ここがマジカリア城……王都で見たどの建物よりも大きく荘厳な作りだったので思わず圧倒されてしまう。
私たちは城門の前に行くと衛兵さんたちが敬礼をして出迎えてくれる。私たちが馬車を降りると一人の男性がこちらに近づいてくる。白髪交じりの緑髪の髪の毛に翡翠色の眼の瞳の男性……一目見てわかったのです。彼はきっと……ロゼッタ様のお知り合い。すると男性は深々と頭を下げた後に自己紹介を始めた。
「懐かしい魔力を感じましたので来てみれば…やはり、あなた様でしたか。お久しぶりでございます。ロゼッタ様。」
「おお。久しぶりじゃのギル坊。元気そうで何よりじゃ。」
やっぱりこの方がロゼッタ様のお知り合いの方なのです。一体誰なのかと思っているとフィオナは驚いた表情で私にこっそり耳打ちしてきたのです。
「アリーゼ様。あの方、賢者様だよ。胸に紋章をつけてる。」
そう言われて私は改めて男性を見る。確かに彼の胸元には青色に輝く聖杖の紋章があったのです。この世界では賢者という存在はとても尊いものです。だからその人が付けている紋章もとても立派だったのです。
するとロゼッタ様が私達に男性の事を紹介してくれたのです。彼の名前はギルフォード・エルヴァンド・マジカリア……マジカリア王国の国王にして賢王と呼ばれている人物なのです。
私たちはギルフォード様に案内されて謁見の間へと通される。そこは豪華絢爛という言葉が似合うような豪華な部屋でした。
「うわぁ…あたしお城とか初めてだから緊張するよお。」
「ボクも…」
「どんな場所でも変わらないのですよ。私もさすがにお城の中に入るのは初めてなのです!」
「いい度胸してるよねアリーゼって。いつもポジティブでうらやましいよ。」
そんな会話をしながら私たちは玉座の前で膝をつく。そしてギルフォード様が口を開く。
「楽にして結構。ロゼッタ様のお仲間とあれば気を遣う必要はない。それで私に何の用かな?」
「ワシたちは鉱山で「ミスリル」を掘りたいのじゃが、鉱山には魔物が多数いると聞いてな。力を貸してはくれんか?」
「……やはりその事ですか。それなら少し私の話を聞いて貰いたい。」
その内容はこれからのマジカリア王国についてのことだったのです。最近鉱山だけではなく、マジカリア王国周辺の魔物の動きが活発になっているらしく、このまま放置すればいずれマジカリア王国にも被害が出る可能性があるとのことなのです。
「魔物の活発化の原因はわかっておるのかギル坊?」
ロゼッタ様の言葉にギルフォード様は首を横に振る。原因は不明……ただ何か大きな力が動いているかもしれないということだけしかわかっていないらしいのです。
「そこでお願いがあるのだ。もしロゼッタ様たちが協力してくれるならば私は全力を持ってロゼッタ様たちの安全を確保することを約束します。もちろん、報酬は弾むつもりですよ。どうですか?」
「ふむ……」
ロゼッタ様は腕を組んで考え込んでしまう。私はチラリとフィオナの方を見ると彼女は不安そうな顔でロゼッタ様を見つめていた。それもそうなのです。魔物と戦うのはロゼッタ様とフィオナなのです。しかもロゼッタ様は魔力が戻ったとはいえ、全盛期の魔力にはまだまだ程遠いのですし。
「……よし、わかった。引き受けてやろう。」
「本当ですか!?ありがとうございますロゼッタ様。」
「ただし、条件があるのじゃ。ワシたちが魔物の活発化の原因を探る間、ミルディに優秀な魔法鍛冶をつけてやってくれ。ミルディは素質はある。魔力のコントロールが苦手なのじゃ。」
「えっ……ロゼッタ様…あたしのために?」
ロゼッタ様はそう言ってミルディをギルフォード様の前に連れていく。するとミルディは急に前に立たされて困惑していたのです。しかし、そんなことは気にせずロゼッタ様はギルフォード様にこう言ったのです。
「ギル坊。悪いが今から言うものを用意できるか?できれば早ければ早いほどありがたいのじゃが……」
「それは問題ないですが……一体何を?」
「なーに簡単なものじゃよ。ちょっとした魔法アイテムを作るだけじゃ。ミルディがの。」
こうしてロゼッタ様の条件によって私たちはその問題の鉱山へと向かうことになったのです。ギルフォード様が用意した馬車に乗って私たちは鉱山へと向かっていたのです。私たちの他にはギルフォード様が雇った護衛の兵士さんたちがいるのです。
しばらくすると目の前に大きな山が見えてきたのです。あれが目的の鉱山…マジカリア鉱山なのです。私たちは馬車を降りて鉱山の入り口まで行くとそこには黒いローブを着た一人の男性が立っていたのです。男性はこちらに気づくと軽く頭を下げて挨拶をしてくれました。
彼はこの鉱山を管理している人らしく、名前をガイル・アロウズさんというのです。私は彼に鉱山の状況を聞くと、鉱山の奥の方で魔物の咆哮を聞いたという報告があったらしいのです。
その報告を受けたギルフォード様はすぐに調査隊を派遣しようとしたのですが、その前に私たちがやってきたというわけなのです。何はともあれ、いざ鉱山の中に出発なのです!
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