37. 脱出劇
砂嵐の影響で止まっていた列車にサリア様を探しにソルファス王国騎士団がやってきた。正直銃剣まで構えていて本気度がひしひしと伝わってくるのです。全員が銀製の装備を身につけており精鋭部隊なのは間違いないのです。それに出口は塞がれていますし、万事休すなのです。
「もう一度聞くがジルベール国の者はいないのだな?それならば1人1人確認する。1人ずつ前の車両に来い!」
すると隊長らしき人物は前の車両に行く。しかしまだ騎士団は何名か残っているのです。
この状態で見つかってしまったら逃げ道なんてないに等しいです……もし捕まれば一生囚われの身になってしまう可能性が高いのです。なんとか脱出する方法を考えないとなのです。
「どうするのアリーゼ?いつかはあたしたちの番が来ちゃうよ?」
「分かっているのです。落ち着くのです。」
(ふぅー……深呼吸して頭をクリアにするのです!まずはこの状況をどうにかしないとダメなのです!!なら私は聖女として色々な対応すれば気を引くことが出来るかもしれないのです。)
私は一度目を閉じて深く息を吸い込みます。そしてゆっくりと吐き出します。そうすることで少しだけ冷静になれた気がしたのです。するとロゼッタ様が私に話しかける。
「アリーゼ。お主1人で自力で脱出できるか?それが出来るならワシが責任を持ってみんなを外に連れて逃がすのじゃ。」
「ロゼッタ様…。無粋なのです。それしか方法はないのです。」
「そんなことアリーゼが危険じゃん。あたしは嫌だけど。」
「ありがとうなのですミルディ。でも私なら何とか出来ると思うのです。安心してくださいなのです。」
確かにこの状況では私が囮になるしかないのです。このままだと全員捕まって終わりなのです。だったら…… 私は覚悟を決めて前に出るのです。すると私の行動を見た騎士たちは銃剣を構える。
その様子からかなり警戒しているようです。大丈夫なのです。落ち着いて対処すればいいのです。私は心の中で自分に言い聞かせる。
「おい!なんだお前!動くなそこに座っていろ!」
「まぁまぁ落ち着くのです。乗客の方が怖がっているのです。」
「うるさい!座れ!さもないと撃つぞ!」
「私はカトリーナ教会の聖女。アリーゼ=ホーリーロックなのです。このような行いが行われているのは見過ごせないのです。別に教会を通して実力行使をしてもいいのですよ?ハミルトン大司教とは知り合いなのです。なんなら教会に確認してもらっても結構なのです。」
私がハミルトン大司教の名前を出すと1人の騎士が前の車両に確認しに行き、そしてソルファス騎士団の騎士たちは一斉に銃剣をおろす。やはり私の思った通りなのです。
実は私はハミルトン大司教とはあった事がないのです。これも『世界教会辞典』と呼ばれる本に各教会の代表者の名前が書いてあったのです。
なのに名前を出しただけでこんなにも効果があるのです。これで少しの間時間が稼げるはずなのです。
「さぁ!皆さん安心してくださいなのです。ソルファス騎士団の皆さんも話せばわかってくれたのです。怖がらないでください。」
「聖女様ありがとうございます。」
「さすがは聖女様だ!」
さっきまでの空気が一変して乗客の皆さんが和やかな雰囲気になる。ただ、これだけではまだ逃げ出すことができない。ロゼッタ様は私に合図する。
「せっ聖女様!おっお手洗いに行きたいよぉ~!!」
顔を赤くしながら大きな声でロゼッタ様は私に言う。
「あらあらなのです。行ってもよろしいでしょうか?可哀想なのです。」
「分かった。おいお前、ついてってやれ。」
騎士の中の1人がロゼッタ様についていく。それにしてもロゼッタ様可愛い演技なのです。私は思わず笑ってしまうのです。
しばらくしてロゼッタ様だけが戻ってくる。どうやら上手くいったみたいなのです。しかしまだ油断はできないのです。この場にいる全員が逃げ出せるまでは気を抜かないのです。
そろそろ私たちの番が来てしまうのです。こうなったら…私は意識を深いところまで潜る。「世界書庫」何か打開できる方法を探さないとなのです。そしてその本を見つけページをめくる。
【言い訳でピンチを乗り切る方法】
1.まずは相手にお願いをする。
2.次に相手が納得するような理由を述べる。
3.最後に相手の良心に訴えかける。
4.それでもダメなら最終手段を使うしかない。
5.最後の手段として相手を力でねじ伏せる。
ふむ。なるほどなのです。これは使えそうなのです。私はロゼッタ様に合図を出しミルディ、フィオナ、サリア様を連れ出すようにお願いする。私たちの作戦はトイレがある車両からの脱出なのです。事前にロゼッタ様が騎士を1人倒してくれてるので今私の目の前には2人しかいないのです。
私は笑顔を作りながら話しかける。
「あの。騎士の方たちの中に女性はいないのですか?男性に身体とかを調べられるのは抵抗があるのです。」
「あぁ?何言ってんだお前?」
「だからその……女性の方に調べてもらいたいのです……。私は聖女なのです。異性に身体を見られるのは…。」
「はっ?お前頭おかしいのか?そんなの今さら無理に決まってるだろ!」
「そう……なの……です……か……なんて無慈悲な……(涙目)」
「うぐぅ……。」
よし!効いてるのです!私はそのまま俯き泣き真似を始めるのです。すると騎士たちは慌てているのです。私はさらに追い討ちをかけるのです!
「私は……本当に……嫌なのです……。」
「わぁーった!わかったから泣くな!女性は後回しにする。おい街に行って駐在の女性騎士を呼んでこい。」
やったのです!これで残り1人。あとはロゼッタ様たちと合流し逃げるだけなのです。私は顔を上げてニッコリ笑う。そしてロゼッタ様と同じくお手洗いを口実に車両を移動する。
「そう言えばあいつ遅いな?」
「あいつ?ああ最初の騎士さんならそこで寝ているのです。」
「!?貴様…」
騎士は持っていた銃剣を構えようとするが私のほうが速く動き持っているロッドで騎士を殴りつけるのです。するとあっけなく気絶してしまうのです。これで邪魔者はいなくなったのです。
「ごめんなさいなのです。でもこうしないといけなかったのです。急いでみんなと合流しないとなのです!」
私は倒れている騎士に謝りつつ、みんなと合流するために急いで列車を脱出するのでした。
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