【最強知識の聖女様】私はただの聖女なのです。本の知識は優秀なのです! ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫
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63. ドラゴン討伐 ~前編~

公開日時: 2022年7月7日(木) 15:57
文字数:2,570

 63. ドラゴン討伐 ~前編~




 あれから2日たったのです。私の体調も良くなりもう動き回っても大丈夫なのです。私は鏡の前でミルディたちが造ってくれた新しい純白のローブを着てその姿を確認する。


「着心地はバッチリなのです。それになんとなく温かいような気もするのです。本当にありがとうなのです。」


 これは魔法軽減の付与がされている私特注のローブ。あの出来事があってみんなで造ってくれたのです。私って愛されてます。少し涙ぐんでしまいました。


 さて、いつまでもこうしてはいられないのです。今日はギルフォード様に呼ばれているのです。どうやらドラゴン討伐に動きがあったみたいなのです。私は準備をして城の入り口でロゼッタ様とフィオナを待つのです。


 フィオナがロゼッタ様を起こすから時間通りに来るはずなのです。まぁ本を読んで待ちながら色々と考えるのもいいものなんですけどね。


「アリーゼ様おはよう!」


「フィオナお主は声がデカイのじゃ…頭に響く…」


 来たようですね。ロゼッタ様は大きな欠伸をしながら眠そうにしています。それに比べてフィオナは申し訳なさそうな顔をしてこちらを見つめてきます。なんだか姉妹みたいに見える光景です。そして謁見の間に向かうのです。


 中に入るとギルフォード様がいて、ドラゴン討伐の状況を話し始めるのです。


「まずは集まってくれて感謝します。さっそくだが現状を説明しましょう。マジカリア鉱山のドラゴンはほぼ殲滅できています。しかしもう兵士や騎士団、ギルド冒険者の疲弊は限界をむかえているのが現状。」


「なるほど……それでワシたちに何をして欲しいのかのう?」


「うむ、これから数日のうちに最後の決戦になる。そこでロゼッタ様たちの力を借りたいのです。」


「私たちですか?私は全然構いませんよー!むしろ頑張りますよ!!」


 そう言うとロゼッタ様も乗り気になったようです。その様子を見かねてギルフォード様がさらに続けるのです。


 私たちはドラゴンとの戦いの最前線に行くことになるのです。つまりドラゴンのブレス攻撃を防げばいいだけという簡単な話ではないのです。


「前線に行ってもらう以上危険な目にあうことも当然考えられる。だからこれは私からの個人的な頼みだと思ってほしい。絶対に無理だけはしないで欲しい。」


 そう言って深々と頭を下げるギルフォード様。その時謁見の間にミルディがやってくるのです。


「あたしも一緒にいく!ドラゴン討伐して、ミスリルを発掘しないと。だからそのツルハシあたしに持たせてアリーゼ。」


「……はい。お願いなのです。ミルディ。」


「うん!任せて!」


 そう言ってツルハシを持ちニコニコ笑顔を浮かべる。きっと私の事を心配してくれてるんでしょうか?でもみんな一緒がいちばん心強いのです!


 私は覚悟を決めて戦う準備をする。必ず勝つための準備をしなくてはいけません。



 次の日になり出発当日となったのです。今私たちの馬車は城下町を通り抜けていくところなのですが人が集まってきて大騒ぎになっているのですよ。なんか見世物になってる気分なのです。私は手を振ってみんなに答える。


「みなさん行ってきますなのです!」


 するとみんな大きな声で返事してくれるのです。私はそんなみんなの思いを背負いドラゴンと戦うことを胸に刻みつけるのでした。


 道中何もなく順調に進んでいくのです。やはり昨日の今日だとどうしても多少の影響はあるみたいですね。でもそれも仕方ないと思


 それから2時間ほどたったところで異変が起きるのです。突然御者が立ち上がり叫ぶのです。私は外の様子を窓から確認する。するとそこには全身傷だらけの冒険者がいたのです。血を流しすぎてまともに歩けていないようです。


 そのまま馬車の前に倒れてしまうのを見てギルフォード様が急いで指示を出すのです。もしかしてドラゴンにやられたのですか!?そして救護兵がその冒険者の手当てをする。


「大丈夫ですか?今手当しますからじっとしてください!」


「俺はいい……それよりもあいつらを頼む……まだ仲間がいるんだ……このままじゃ全員死んじまう……」


 そう言い残して気絶してしまうので、慌てて応急処置を施す。これは一刻を争う事態なのです。早く何とかしなければ全滅は免れないのです。


「どうやら最後のドラゴンは強敵のようじゃのう。ここからは戦闘になるぞアリーゼ。」


「わかっているのです。」


 負傷者の救助はギルフォード様にお任せをして私たちは急いで現場へ向かうことにしたのでした。到着した時には既に激戦が繰り広げられていたのです。


 騎士団は指揮を取りながらドラゴンと戦い続けている様子だったのです。兵士は剣を構え、冒険者はドラゴンに向けて魔法やスキルを使い攻撃を繰り返す。しかしそれは無意味かのように全て弾かれてしまい意味をなさないのが現状のようなのです。


 なんとかあのドラゴンを倒す方法を探すのです。私は意識を深いところまで潜る。「世界書庫」この前の本とは別の本を探すのです。そして一冊の本が見つかりその本のページをめくる。


【ドラゴンを仕留める方法】

 1.強力な毒もしくは麻痺などの状態異常を付与して弱らせる

 2.地面が見えないくらい大量に落とし穴を設置する

 3.ドラゴンの口を塞ぎブレスで自爆させる。

 4. ドラゴンの額の核を砕く。

 5.ドラゴンの死角に入りこみ後ろ脚を狙う

 6.両翼を切断し空に逃げられないようにする


 なるほどなのです………。まずはこの作戦を成功させるために状況を把握する必要があるのです。問題はどうやって実行するか?なのですが……。


「ロゼッタ様どうするのです?」


「ふむ。ドラゴンの額の「核」を砕くことが出来れば倒すことはできるのじゃがな。」


「ご存知なのですね!本に書いてあったのです!さすがロゼッタ様!」


「当たり前じゃろ。ワシは「竜殺しの魔女」じゃぞ?忘れたか?」


 そうだったのです。すっかり忘れていたのでした。流石なのです!でも困ったのです。ドラゴンには近付けない上に足場が不安定すぎるのです。


 私は頭をフル回転させて最善の方法を考える。そして一つの結論に達するのである。


【ドラゴン退治(仮)作戦1:まずは敵を引きつけておくことが必須】


 まず最初に行うべき事は囮を使ってドラゴンをひきつけることななるべく声が通って聞こえやすい場所に立ってみることにしました。そして私はみんなに向けて声を上げるのです!

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