92. 聖女。止める
未開の地にできた新しいダンジョンを攻略して大聖女ディアナ様が書いたとされる本を手に入れ、凄く嬉しい気持ちになったのです。とりあえず今の私たちが攻略できそうなダンジョンはある程度回れたのです。次はもう少し強くなってから上級者ダンジョンに挑戦したいのですね。
私たちはシェルタバード島から次の目的地を話あうことにするのです。次は何をしたいですかね…。
「ソフィアは何をしたいのです?」
「え?私ですか?私はロゼッタ様に魔法を教えてもらえるなら何でも。アリーゼ様におまかせしますよ。」
「フィオナはどうなんです?」
「ボクは…みんなと一緒なら何でも楽しいから!」
2人ともいい子なのですけど…うーん。
まぁあまり気負って行動してもつまらないのです。それに、私たちには時間があるのです。ゆっくり考えてもいいと思いますしね!
それじゃあこうやってお茶をしながら話し合うのも悪くないかもしれません。たまにはこういうのも良いと思うのですよ。
その時ミルディが血相を変えて部屋に飛び込んでくるのです。
「大変大変!アリーゼ大変なの!」
「どうしたのです?そんなに焦って?」
「そりゃ焦るよ!セントリン王国とランバート王国が戦争するんだって!冒険者の召集依頼が入ったって。ギルドの人達が言ってたから間違いないよ!」
…………はい? 今なんて言ったのです?戦争……? えぇっとそれはどういう事なのです?
「えっ?セントリン王国は皆さんがいた国ですよね?というかこの島もセントリン領でしたよね?」
「どうしよう…お父さん無事かな…」
「落ち着くのです。まだ戦争は始まってないのです。それならこうするのです。次の目的をランバート王国にするのです。戦争を止めるのです。」
「アリーゼ様そんなことできるの!?」
そんなフィオナの質問に自信満々に答えるのです。
「私は聖女なのです。ランバート王国の第二王子のライアン=ランバート様とはお茶のみ友だちなのです。」
「いや王子様をお茶のみ友だちって。」
「アリーゼ様らしいというか何というか…」
そういえばあの人は私が教会から破門されてから会えてなかったのです。でもちょうど良い機会だと思うのです。ちょっと挨拶に行ってみるのもいいかもしれないのです。
こうして次の目的地が決まったのです。
そしてこの日を境に、世界情勢が大きく変わることになるのです。それは、正式にランバート王国からセントリン王国へ宣戦布告が出たからなのです。
翌日、私たちは港にある船着き場に来ていたのです。ランバート王国へはここから船で2日程かかる場所だったはずなのです。ちなみに船は定期便が出ているらしく、今日はその便に乗っていくことにしました。もちろん魔法船なのです。
の待合所。ミルディはさっきから落ち着きなくウロウロしている。それを見たロゼッタ様が言う。
「おい。ミルディ落ち着くのじゃ。船に乗る前から目の前でウロウロされても目障りなのじゃ。」
「だって…どうしたら…」
「宣戦布告が出ただけじゃろ?国同士の戦争などいきなりは始まらん。猶予は7日。ワシたちがランバート王国につくのは2日後。そして王都までは更に2日。まだ3日残っておる。」
「止められるかわからないじゃん!止められなかったら…私は…お父さんしか家族いないんだから」
ミルディの気持ちは分かるのです。私だって親方さんやリオンさんにはお世話になったのです。それにミルディの言う通りなのです。
もし開戦してしまったら止めようにも間に合わない可能性の方が高い気がするのです。それに相手は大国のランバート王国なのですよ。いくらなんでも分が悪いのです。
「アリーゼ。ランバート王国からセントリン王国に行く方法はいくつかあるのか?」
「王都から馬車でカトリーナ教会がある東側のルートを進むか港からの船で進むルートがあるのです。」
「なら港は放置で構わんな。さすがのセントリン王国もそれくらいは対処しているじゃろ」
つまり私たちが向かうべきなのは東側のカトリーナ教会への道なのです。それと王都で止める方法もあるのですね。私も一応お手紙を書いておくことにしたのです。もちろん私のことは伏せておくのですけどね。それから1度宿屋に戻り、準備を整えて再び船着き場に戻るのです。
船が出発するまであと30分ほどあるのでその間に乗船手続きをするのです。といってもお金を払って乗り込むだけですけども。
そして出発の時間になりました。ずっと俯いているミルディに私は声をかける。
「ミルディ安心するのです。私が必ず戦争を止めるのです。」
「アリーゼ…」
「大丈夫。私は聖女なのです!」
そうなのです。戦争は何も生まないのです。ただ失うだけなのです。そんな事はさせてはいけないのです。私はミルディの手を握って微笑むと、彼女は少し落ち着いたのか小さく笑ってくれたのです。
船はゆっくりと動き出し、徐々に速度を上げていく。そしてランバート王国に向けて進み出す。私たちはその光景を見ながら拳を強く握りしめるのでした。
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