81. 賢者の頑張り
ロゼッタ様は得意の爆炎魔法をその大きな雪だるまのような魔物に向かって放つ。そして直撃するのです。白い煙が舞い辺りが白一色に変わるのです。視界が晴れていくとそこにはまだその魔物はいたのです。もしかしたら効いてないのです!
そんな事を考えてしまうほどに、平然としているのです。一体どんな防御力をしているのか気になるところなのです。でもそんな事はどうでもいいのです。問題はあの魔物がこちらに気付いたという事なのです。
私たちの方を向くと大きな口を開ける。そして何かを吐き出したのです。それは真っ赤な液体だったのですが、ただの水だったのです。何てことはない水なのです。
それなのに私の足は動かないのです。まるで石のように固まってしまったのです。そして動けなくなった私を見て、ロゼッタ様が叫んだのです。
「バカ者!その液体は拘束魔法じゃ!」
「えぇ!?う~ん……動かないのです!」
私はその言葉を聞いて慌てて動かそうとするのですが、体が言うことを聞かないのです。その間にもその魔物は大きな口を開けながら近づいてくるのです。
「アリーゼ!」
ミルディの声が聞こえてくるのです。でもこの状況で私はもうダメだと思い目を瞑る。終わったのです。食べられたのです。
が、いつまでたっても衝撃や痛みを感じないのです。不思議に思い目を開くとそこには見慣れぬ大きな土の壁が私を守ってくれているのです。
「土魔法【アースウォール】!!大丈夫ですかアリーゼ様!」
これはソフィアの土魔法なのです。助かったのです。それにしてもあの大きな雪だるまはロゼッタ様の爆炎魔法が効いてないのです……どうしたら……。
そう思っているとまたさっきと同じ赤い液体を吐きかけて来たのです。何とか私の目の前にそびえるソフィアの土魔法の壁で防ぐのです。
フィオナとロゼッタ様が次々と攻撃してくれているおかげで何とか持ちこたえられている状況なのです。だけどこのままではジリ貧なのです。早く何とかしないと。
私は意識を深いところまで潜る。「世界書庫」お願いなのです。この状況を打破する方法を…そして一冊の本を見つけそのページをめくる。
【巨大雪だるまを倒す方法】
1.核を破壊する(これはおすすめ!)
2.魔力を使い切らせる(これもおすすめだよーん)
3.弱点を見つける(これ大事ね☆)
4.爆発させる(かなり魔力が必要だよ)
5.溶かす(これも包み込む魔法が必要)
ふむふむ。なるほどなのです。
ならいつも通り頭の中でイメージして一つずつ考えていくのです!
1.核を破壊する
これが一番簡単なような気がするのですが…そもそも核はどこにあるのかって話なんですよね。それを探す前に魔力がなくなるかもしれないのです。
2.魔力を使い切らせる
これは難しいと思うのです。あの雪だるまの魔物の魔力量がわからないのです。
3.弱点を見つける
炎しかないのです。でもロゼッタ様の爆炎魔法が効いてないのです。
4.爆発させる
これはもう実践したのです。でも出来なかったのです。
5.溶かす
これしかなさそうなのです。でもどのくらいの温度が必要なのかとかわからないのですよね。だからまずはやってみないと始まらないのです。大丈夫なのです。方法は考えついたのです。
「ミルディ魔法石はまだあるのです?」
「うん、あるけど。」
「ロゼッタ様もう一度お願いなのです。それとソフィアの魔法があの雪だるまを倒す重要なカギを握るのです」
「私…ですか?」
ソフィアは不安そうな顔をしているのです。でも安心するのです。ソフィアは賢者の血縁なのです。私はソフィアとロゼッタ様に方法を伝えるのです。
「という方法なのです。」
「お主の言うことも一理あるの。分かった。ソフィア頼むぞ」
「やってみます…。」
するとソフィアは詠唱を始めるのです。
「我が願いを聞き届け 彼の者に風の力を与えたまえ 風魔法・タービュランス!!」
その瞬間巨大な雪だるまの周りを囲むように風の乱気流が生み出され、その体を拘束したのです。
「上出来じゃソフィア!行くぞ爆炎!受けるのじゃ!」
そう言ってロゼッタ様はその乱気流の中に爆炎魔法を放つのです。大きな爆風と共に白い煙が舞う。そしてその煙が晴れるとそこには大きく穴が開いた地面だけがあったのです。
そうなのです。おそらくロゼッタ様の爆炎魔法は当たると拡散してしまったのです。だから、ソフィアの風魔法の乱気流でロゼッタ様の爆炎魔法を外へ逃がさないようにしたのです。これは2人の合体魔法なのです!
そしてその奥には青白く光る何かが見えるのです。これが核なのですかね?するとその青白く光る核らしきものはきえてしまったのです。どうやら成功したのです!それと同時に私を拘束していた魔法も解除されたのです。
「良かった…成功した…」
「うむ。よくやったぞソフィア」
「ありがとうございますロゼッタ師匠!」
そして私とミルディがソフィアに駆け寄ると、少し照れくさそうに笑っていたのです。とりあえずこれで一件落着なのです!
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