「いい?今出てる罪と悪魔は全てで50体。私が30体片付けるから、貴女も20体なんとか倒しなさい!」
そういうと義美は聖奈を置いて我先にと悪魔へ突っ込んでいく。一方、聖奈は悪魔と戦う所か体が異様に軽くなりすぎてその制御に苦戦していた。
「この状態で20体もですか?!」
軽く走ったつもりが10秒で最初に足を上げたところから1キロも離れていて、軽く跳ねたつもりが10mも飛んでいる、それ程までの軽さにこんな状態で悪魔を倒せるのかと思っていた聖奈であったが、ほんの数分後にはその軽さに慣れて義美はそんな聖奈を見てため息を吐きながら呟く。
「はぁ、普通なら何週間も訓練を続けてやっとまともに動けるのに。流石神様が自ら認めたがっていただけはあるわね。」
そうして、あっという間に動きになれた聖奈であったが、悪魔を消すことには苦戦していた。悪魔は何故か何発も何発も殴って彼方へと吹き飛ばしてるのにすぐに立ち直って戻ってくるのだ。これじゃラチが空かないと思い聖奈は義美に悪魔を消す方法を聞く。
「義美さん、こいつら何発も殴ってるのに復活してきて悪魔ってよりゾンビって感じなんですけど、どうやったら消えるんですか?!」
「ミドウ様から貰ったアプリに載ってある術式呪文を言って術式や神器を出して!それで倒したら悪魔の魂は浄化されて罪を消すことができる!私が持ってる刀剣みたいにね!」
確かに、義美は悪魔を自分の体ではなく、刀剣で倒してる。それを見た聖奈は再びアプリを起動した。確かにアプリには術式メニューという画面はあったがどの術式呪文も難しい漢字で溢れていて聖奈は思わず「これ全部?!」と声を上げたが、義美はそんな聖奈とは裏腹に「ぶっ飛ばせ!」と簡単に言って、その言葉の通り幾つもの刀剣を空中に起こし敵方向へとぶっ飛ばした。そして義美は聖奈の方をみてこう言う。
「今のが術式。ようするに、やりたいこと想像して声に出せばやってくれんのよ!ミドウ様、神様だけど優しいから!」
聖奈はそれを聞いてポカンとしたが、ゴッドストーンの方を向き、術式メニューの中にあった両刀を出す術式を想像して言う。
「神様!両刀を私に!」
そうすると、聖奈の前に魔法陣が現れて両刀が出てきたので聖奈はその両刀を持ってみる。
「うわー!これが神器、意外と重い!でもこれで!」
聖奈はそう言うと、その両刀で悪魔たちを次々、斬り裂いていき空間にいる悪魔はついに最後の1匹になった。しかし、その悪魔は何故か今までの悪魔と違い様々な動物の集合体のようではなく人間の男性のような形をしている。
聖奈はその1匹も斬ろうとしたが、そんな聖奈を義美は止める。
「待って、聖奈!そいつは貴女じゃまだ勝てない!」
聖奈はその声に止まり、残った悪魔は不敵な笑みを浮かべながら不気味な声で人間と同じ言葉を喋り出す。
「ふふ、流石にベテランの贖宥嬢さんには気づかれてしまいますか。お久しぶりですね大友義美さん。」
義美はその悪魔に対して同じように
「あぁ、こちらこそ。私ではなく、新人の聖奈の方に行くなんて相変わらずキモさは変わってないようだね。7つの大罪の1人、『色欲』の咲兎くん。」
と不敵な笑みを浮かべて話す。
2人は笑いながら会話を続けるが、聖奈は得体の知れない気を放つその悪魔に両刀を向けて警戒するが悪魔は話を続ける。
「そこの、新人さん。確か、聖奈ちゃんと言ったね。あまり警戒しなくてもいいよ、他の勝手に襲って勝手に犬死にするような悪魔と違って僕はね、君たち贖宥嬢と友達になりたいんだよ。」
そう言う咲兎に対して義美も聖奈に向かっていう。
「惑わされないでよ、聖奈。こいつの言う友達ってのは貴女が思うようなものじゃないわ。」
聖奈も義美の期待に答えるよう「わかってますよ、義美さん」と答えたが同時にどう倒すのかも疑問であった。こいつは今までの悪魔とは桁違いに強いということを聖奈はこれまでのやり取りで察知し、自分は勿論、義美も余裕の表情を保ててはいるが恐らく目の前にいる悪魔の方が数段強い、そんな気が聖奈にはした。
だが、聖奈の疑問が解かれる前に咲兎がまた喋り出す。
「このまま倒して原罪様に持って帰るのも容易いですが、それじゃつまらない。ここはやっぱり色欲の悪魔として女は犯さないとね!自己欲情死!」
テクノブレイク、咲兎がそう言うと聖奈や義美の動き、いや今この空間にいる咲兎以外の時間そのものが止まった。続けて咲兎は聖奈へとじりじりとすり寄っていく。そして咲兎は聖奈の肌に触ろうとするがその瞬間、咲兎に謎のテレパシーの声が入る。その声の主は咲兎に強い口調でこう言う。
「何をしてるんですか、咲兎さん!原罪様が呼んでるから早く来てください!」
その声はまるで女のような高い声だった。咲兎はその声を聞くと「ちっ、新人の癖に偉そうに命令しやがって。流石、高慢。」と言って咲兎はその空間から瞬間移動かのように消えてテクノブレイクの効果が切れる。咲兎がいなくなると再び時間は動き出し解放された聖奈は1言目にこう発す。
「あ、あれ確か私たち咲兎っていう悪魔と戦っていたんじゃ...てか私なんかその悪魔に体を触られた気が!」
その言葉に対して義美はこう返す。
「触られても可笑しくないわ。なんせ、あいつは七つの大罪という最強の悪魔が集まった中でも1際異臭を放つ最強の変態の異名を持つ男、色欲の悪魔咲兎だからね。」
「うわぁ、何ですかその嫌すぎる異名。私だったら付けられた瞬間死にますよ。」
ドン引きしながら聞く聖奈であったが、義美が咲兎と知り合いのように話してたのを思い出して聞いてみる。
「あっ、でも義美さんはアイツのことを知ってたようですが前にも会ったことが?」
「うん。前にも一度戦ったことがあってね。その時もこんな感じだったわ。」
義美は何故か何かを隠すかのように少しで早口そう言ったが、2人が咲兎のことについて話してると空間は学校へと戻っていった。しかし、先ほどまでいた異空間でも時間は過ぎてるため2人は学校の最終下刻時間ギリギリに帰るハメになるのだった。
そしてその帰り道に聖奈と別れた後、義美は今回の聖奈の戦いを見て確実に戦力になると考えて自分が知ってる聖導教や罪のことについて全てを話す決意をする。
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