【完結:怨念シリーズ第2弾】裕(ゆたか)~呪いの拡散~

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呪いの動画のアップロード

公開日時: 2021年10月2日(土) 09:34
文字数:4,694

恐怖の内容を知ってしまった稲見は、護社長から聞かされた内容を秋池と徳川に話すことにした。時計は15時を回ろうとしていた頃だった。


稲見が二人を会議室に呼んで話をし始めた。


「親父は泥棒だったんだよ。表向きは派遣工作員で働く技術職として、1970年に開催された大阪万博に九州パビリオンに出展したことがある潤一郎おじさんと裕おじさんの二人に、”技術エージェントの小鳥遊《たかなし》悟です。エージェント業として、わたしがあなたたちの事業を応援しましょうって言ってね、近付くと同時に潤一郎おじさんが経営するソメザワ・マテリアルと裕おじさんが経営するモチヅキ・ドリーム・ファクトリーでそれぞれ研究開発をしている商品の設計図や開発中の商品などをこっそりと盗み出し模倣した商品を作り出したのをあたかも自ら開発したかのように世に売り出したんだ。佐賀ではバレるからな、中州まで行ってね、そこで出店みたいな感じで会社帰りのサラリーマンをターゲットに『是非とも御社で導入していただけませんか?』ってね。当然ながらバレるのは時間の問題だった。それぞれの会社で企業秘密だった情報を盗み出すことが出来るのは、親父しかいないからな。親父に二人が怒鳴り込みに来たのは1972年の8月8日の事だった。夜の21時頃だった。未だに忘れられない。二人が家まで怒鳴り込みに来て”警察には通報しない代わりに盗み出した情報を自分が開発したものだというのは訂正しろ!続けるようなら出入り禁止にしてやる”といってね。親父は二人のクレームに”あー、はいはい。わかったわかった!”と言いながらも盗み出す行為は姑息なやり方でバレぬように繰り返し行われた。本来なら盗みを行っているんだから捕まってもおかしくなかった。そんな親父を二人が優しかったから刑務所に行かずに済んだ。それを仇で返したんだ。ある程度の資金がまとまったところで親父は1973年4月1日にフェニックス・マテリアルを創業したと同時に、かつソメザワ・マテリアルとモチヅキ・ドリーム・ファクトリーで盗み出した情報を糧に次々と商品を開発し売りに出した。会社は創業と同時に繁栄し、潤一郎おじさんや裕おじさんが開発した商品は、親父が開発したものだと世間が認知したと同時に、二人が経営する会社は次第に経営が悪化していくようになる。何をしてもありとあらゆる会社がフェニックス・マテリアルのほうが最先端と言われたからね。恨まれてもしょうがないことをした。1974年の7月21日の事だった。潤一郎おじさんが夜の20時過ぎに家に現れると、それは激しい怒りの表情で『悟を出せ!』と言って対応に出たお袋が慌てて親父を呼ぶと、親父が何食わぬ顔で潤一郎おじさんの前に現れると潤一郎おじさんはTシャツを着ていた親父の首元をガッと掴みこう大声で怒鳴ったんだ。」


『お前は俺の優しさを何だと思っているんだ!?通報しないだけ有難いと思うことをそれでもなおお前は俺が開発した技術をあたかも自分が開発したかのように作り出しかつ世に送り出した。その上俺の会社名を挙げず、お前の会社で独自に開発したかのように売りに出したお前を俺は心底許さない。お前のおかげで、俺の会社も、望月の会社も今どんなことになっているのか、お前は分かっているのか!俺たちの首を絞めるのが目的で俺たちに近づいたのか!!この泥棒め!!』


「潤一郎おじさんが激しい剣幕で罵声を浴びせている親父の姿を俺はうっかり見てしまった。潤一郎おじさんは怒りのあまり我を忘れてしまっていたみたいで、子供の時に俺が見たあの光景は地獄そのものだった。あの後、潤一郎おじさんが多久市内の豪邸で就寝中だった奥さんの豊子さん、息子の宏親君と靖典君と智紀君を次々と殺害した後、風呂場で切腹自殺を図った。朝の臨時ニュースを親父は何食わぬ顔で見ていたけど、俺とお袋はあのとき親父が潤一郎おじさんと揉み合いをしていた現場を見ていたからね。」


「潤一郎おじさんが無理心中を図った後、後を追うように、裕おじさんが事件を起こしたんだ。1974年12月28日の事だった。俺と親父、お袋の3人でゆっくりとテレビを見ていた夜の21時の事だった。玄関で激しいドアのノック音が聞こえてきたので、親父が出てきたら、まるで般若のお面のような表情の裕おじさんが立ち尽くしていたんだ。親父が”大晦日に何の用事だ?”と聞くとね、裕おじさんが親父の胸元に人差し指をさしながら怒鳴り込みに来た。」


『年を越す前に、お前には言わなければいけない。社長のまま、借金を抱えていない綺麗な状態で死にたいという染澤の無念をお前は反省の意思も無ければ、俺にも企業秘密の情報を盗み出したことを謝りに来ないその姿勢に俺は腸が煮えくり返ってしょうがない。お前は俺たちの首を絞め俺たちの会社を潰すために近づいたのなら、俺はお前に対してそれなりの報復行為をしなければ気が済まない。俺は立ち上げた会社を何とか存続したいから数百万円だった借金が黒字の額よりも赤字の額が増え続け、利息も払えない状態になり、借金の借金で返さなければいけない状態になり、12月28日にモチヅキ・ドリーム・ファクトリーはあんたのおかげで倒産に追いやられた!会社の敷地も自宅や車も差し押さえになった。どう落とし前をつけてくれるんだ!!お前は何の苦労もしないで俺たちの会社の企業秘密の情報を盗み出し何食わぬ顔で経営をしている姿を想像するだけでも、俺たちの優しさを裏切り行為で返したのも、俺はお前のした行為を死んでも許すことはできない!』


「裕おじさんがそう話すと、その後家で裕おじさんの帰りを玄関で待っていた奥さんの絹子さんの首を両手で力づくで絞め殺害すると、台所にあった出刃包丁を手に就寝中だった息子の哲也君と和保君の胸から腹部をメッタ刺しにして殺害後、家にガソリンをまいた後に火を放ち我が家を放火した後、唐津市内にある観音の滝の滝面に身を投じて自殺した。裕おじさんがダイイングメッセージとして残してくれた8mmフィルムも見たのだろう?裕おじさんは生前よく持っていたスーパーエイトで8mmフィルムの動画を撮影するのが趣味だったんだ。撮影した映像を皆で集まって映写機に映し出される映像を見ながら思い出に更けるのが楽しみの一つだったんだ。如月が持っていたのは、元々は裕おじさんの所有物だったものだ。親父は俺やお袋が生前に潤一郎おじさんや裕おじさんと揉み合っていたこともあり、自殺した因果関係にも繋がっていることもあったかあら、隠したい一心で社長室に隠したんだ。」


聞かされた内容を聞き、二人は言葉を失った。


秋池が「どうしてこれを如月が知っていたんでしょうね?」と語ると、稲見は「さあ。恐らく護社長が不在の時に忍び込んで隠し部屋の在処に気付き、スーパーエイトと録画されてある8mmフィルムと映写機を無断で持ち出したのだろう。」と話し始めた。徳川は「どうしてあいつがそんなことを、どうして隠し部屋の在処なんて、社長しか知らないことを一体どうやって嗅ぎ付けたというんですか?」と稲見に質問をするも、稲見は「そこはわたしたちも想像の域でしか話をすることが出来ない。」としか語ることは出来なかった。



夜の19時過ぎに徳川が家に帰ってきた。


「あいつが可愛がっていたミニブタのミルキー、お散歩に連れて行ってやらないとなあ。」


如月が亡くなった後、飼っていたミニブタのミルキーは徳川の家で引き取ることになった。早速近くを散歩していたら、一休みがしたくなり公園へと立ち寄ることにした。ベンチに座っていたら、ミルキーは公園に生えている草をムシャムシャと食べ始めた。「食べ物には目がないのか。」と改めて思った。


家に帰った後、徳川が家のパソコンを開き、YouTubeの動画を見ていた。


その中でふと如月がTikTokのユーザーアカウント名”幽幽”と調べたら出てくるのかと思い、検索をしてみることにした。


「幽幽チャンネル・・・!?あいつYouTubeでも動画チャンネルがあったのか!」


そう思い、如月がアップロードをした動画の一覧を見てみる。


その中である動画を発見した。


”観音の滝 自殺者第1号の瞬間”


徳川が思わず動画を再生するとそこには衝撃的な内容が上がっていた。


「モチヅキ・ドリーム・ファクトリーは借金が膨らみに膨らんだ結果、倒産する流れとなりました。俺を支えてくれている妻や子供達には家や車を財産差し押さえで失ったばかりでなく、数億円にも上る借金の返済を背負わされ、夫として父としてこの上なく力不足で満足な生活を送ることが出来ず申し訳ない気持ちでいっぱいです。どうかこの罪深い俺を許してください。そして俺は、裏切った小鳥遊たかなしを許さない。悪霊になってでも俺は小鳥遊たかなしに制裁をしてやるんだ!」



「これは、俺達がみた、観音の滝に望月裕さんが自殺を図った瞬間だ。あいつ、こんな動画をアップして一体どういう神経なんだ!?」


そう思いながらコメント欄を覗くと、無神経なユーザーが「呪いの動画、拡散しまーす!」といっていいねボタンや、或いは「おいおい、こんな動画をアップしたら滝の中からモニターを通り抜けて裕が出てくるぞ!」といった貞子を彷彿させるようなコメントなど、それに続けて「貞子の男版?男版作るんだったら井戸から出てこいやー!」などが上がっていて、呆れて言葉が出てこなくなってしまった。


その中で、”自滅の瞬間”という動画があった。


恐る恐る徳川がクリックすると、絶句してしまう動画内容だった。


血しぶきを浴びて、真っ赤に染まった男が映し出されていた。


「1974年7月24日夜の2時を回ったぐらいだね。俺は愛する家族をこの手で殺してしまった。豊子に、息子の宏親、靖典、智紀、皆ごめんな。でもこうするしかなかった。俺は小鳥遊たかなしを悪魔になってでも復讐を果たしてやる。地獄できっとサタン様が俺のことを見守っていて下さっているだろう。怨念で漲るこの俺に大いなるパワーを授かるためにはこうするしかなかった。誰かに殺され怨念を抱きながらこの世を彷徨うより、怨念を抱きながら自らの手で殺したほうが、より悪のパワーが増す。霊の存在は俺は信じないが、本で読んだこの内容だけは俺は信じてならない。俺は死んで悪魔になる。そしてのうのうと生き続ける小鳥遊たかなし悟を追い詰めてやる。今迄支えてきてくれた、皆ありがとう。」


動画はここで話が終わっていた。


見ていて寒気が思わず走った。


「これはきっと、切腹自殺をした染澤潤一郎さんのダイイングメッセージだ。」


そう思うと、如月がしていることの過激な行動を改めて痛感させられた。


「動画の再生回数をアップさせるための視聴率稼ぎなのか。そんなことをしてまで、あいつは一体何で遺族が見たら不快な気持ちにさせる動画をアップさせるんだ。」


如月に対して改めて憤りの気持ちしか芽生えてこない徳川の姿がそこにあった。


「こんな動画をアップロードをしておいて、見たユーザーもユーザーで同じ同士だから指摘をする声はあれど、指示をする声で大いに盛り上がる様子はおかしい。もうコメント欄なんか見ないほうがいいな。」


そう思ったがやはりコメント欄が気になった。


一コメント「悪魔になるならブリッジをしながら階段を下りていかないとなあ!」

返事「エクソシストかよ!」

返事「ブリッジして階段を下りれないなら呪怨の伽椰子のように這ってでも階段を降りてこないといけない!!」

返事「悪魔=階段下りる 定着してんのか!?」


無神経なユーザーによるコメントが読めば読むほど腹立たしくなるだけだった。

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