冒険者ギルドのギルドマスターと面談を行っている。
彼が何やら威圧を飛ばしてきたが、俺は涼しい顔でスルーした。
「普通……、ねぇ」
ギルマスがそうつぶやく。
そこに、受付嬢が割って入る。
「ギルドマスター! このようなことを言っていますが、ライルさんは只者ではありません。銀月草も大量に採取されましたし……」
「……確かに、それも先ほど聞いたな。しかし、銀月草は発見が難しい。ライル君はどうやってそれを入手したのかね?」
「それを教えれば、ギルドマスターも俺のことを信じるか?」
「ふむ。場合によっては信じよう」
「わかった。教えてやる。なに、ただの魔力探知だよ」
俺はそう言いながら、この場で魔力探知を発動させる。
周囲の魔力反応を探る技術だ。
魔力は人や魔物の他、銀月草のような魔力を帯びた材料、魔石、魔道具などからも発せられる。
この場の魔力反応は、7つ。
俺、リリア、冒険者の男女、受付嬢、ギルマスで6つ。
あと1つは……。
「動くな」
俺は部屋の隅に隠れている人物に一瞬で近づき、ナイフを首筋に当てる。
気配を消す系統のスキルで隠れていたのだろう。
S級スキル竜化には及ばないが、なかなか悪くないスキルだ。
「む!?」
その人物が、驚いたような声を上げる。
気配を消すスキルが解除されたのか、そいつの気配をしっかりと認識できるようになった。
現れたのは、20代くらいの女性だ。
「いつの間に後ろに回り込んだんだい?」
「あんたが気づかないうちだ」
「そうかい。それはすごい」
女性が飄々とそう答える。
「なぜわざわざ隠れていた?」
「さあて。なぜだと思う?」
女性がそうはぐらかす。
話すつもりはないらしい。
俺もナメられたものだ。
「死にたいようだな」
俺は殺気を開放する。
さらに、俺は女性の首元から少し血が出るように力を入れる。
「ぐっ……。あっ……」
女性が錯乱している。
つい先ほどまでは飄々としていた彼女も、俺の殺気をまともにくらっては正気ではいられない。
「ギ、ギルドマスター! ライルさんを止めてください!」
受付嬢が悲鳴にも似た声で叫ぶ。
「待ってくれ。これは儂の指示なのだよ」
「……どういうことだ? 答えによっては……」
俺は彼にも殺気を向け、ナイフを持つ力を強める。
「ま、まずは落ち着くのじゃ。そして、その物騒なものをしまってほしい」
「…………」
こそこそと隠れておいてよく言う。
しかし、ギルマスからもこの女性からも、殺気や害意は感じない。
ギルマスの言葉に従ってやるとするか。
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