それからしばらくして、ようやく気が済んだのか、責め苦が終わったのだった。
メスタはボロ雑巾のようにズタボロとなっている。
「すみません、ライルさま。こいつは学習能力がないんです。村でも調教に苦労していて……」
「いいってことさ。学習能力のないバカを奴隷にすると、苦労するよな。こんな無能を押し付けて、こちらこそ悪かった」
俺が謝ると、その場にいた全員の視線が俺の方へ向いた。
なんでみんなそんなに驚いているんだろうか……?
俺だって、悪いと思ったことを謝ることぐらいはある。
まぁいい。
それよりも今は、やるべきことがある。
「良ければ、改めて俺が引き取ろうか?」
「ライルさまが? 何か使い道があるのですか?」
俺の言葉にミルカが首を傾げる。
俺は首を振る。
「使い道などない。ただ、殺処分してやろうかと思っただけだ」
山村であれば、人間の死体の処理には困らない。
とはいえ、最低限の労力というものは必要だ。
穴を掘って埋めたり、谷底に突き落としたりな。
メスタのような役立たずには、そうした労力を割くこと自体がもったいない。
だから、元々の所有者である俺が責任を持って対応する必要がある。
俺はそんなことを考えたのだった。
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