「おい、誰がメスガキだコラァ!! ふざけんじゃねぇぞ!!!」
リリアが指差したのは、年若い少女だ。
彼女は部屋の一角に拘束されている。
見た目だけなら可憐な美少女なのだが、その体から立ち上る怒気は尋常ではない。
俺とリリアを除けば、1対1で彼女に勝てる者は皆無だろう。
A級スキル【剣聖】は、それ程までに強力な能力を持つ。
「まだ生意気な口を聞けたとは驚きだな。ほら、また鮮度の良い血をもらってやる」
「ぐっ……! ぎゃぁっ! や、やめろ……っ!!」
俺は彼女の腕に向けてナイフを振り下ろす。
傷口から溢れ出して滴る血液を、クリスタルに当てて吸収させていく。
「ははっ! いくらA級スキル持ちの血でも、そろそろ吸収効率が落ちてきたか!!」
「同じ者の血ばかり吸わせても、完成までは難しいからのぉ……」
「だな。となると、とりあえず生かしておいたコイツも用済みか……。なぁ? ガルド」
俺は弟の名前を呼ぶ。
すると、少女がビクリとして震え上がった。
「ま、待ってくれよ。なあ、兄弟! 俺たちは血を分けた実の兄弟じゃないか!! 助けてくれぇ!!」
「……」
ガルドが命乞いを始める。
そう。
この年若い少女の正体は、ガルドだ。
俺はコイツの男性器をぶっ潰した直後、試作品のエリクサーを飲ませた。
……その結果、無事にガルドは回復した。
ただし、なぜか性別が反転していた。
今の彼は、美しい少女になっている。
こんなクソ野郎に対して『美しい』と感じるのも癪だが、それが事実だ。
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