「ふふ……。何度見ても素晴らしい牙だなぁ……」
俺は、宿の部屋に飾った『白銀の大牙』を見て感嘆の声を上げた。
先日狩ったシルバータイガーから入手した戦利品である。
この牙を入手するために、多くの時間と労力を費やしたものだ。
「これを使ってエリクサーを作れば……俺の望みが叶うんだな。待っていてくれ、ルーシー……」
ルーシーを生き返らせること。
それが、俺の旅の目的だ。
一時はS級スキル【竜化】に飲み込まれそうになったものの、今は大丈夫。
俺は元通り、清廉潔白で心優しい元王子ライルに戻っている。
ルーシーが生き返ったら、きっと微笑んでくれるはずだ。
「入手難易度の高い『白銀の大牙』を今回入手できたのは大きいの。エリクサーの生成に必要な材料はたくさんあが、比較的手に入りやすいものは入手済みじゃ。のう? 小娘どもよ」
「はい、私の父が営む商会で手に入れられるものは全て買い集めさせていただきました」
「私も、冒険者ギルドのツテで手に入れられるものをかき集めました」
リリアの言葉を受け、スピカとアイシャが答える。
商会長の娘であるスピカに、冒険者ギルド職員のアイシャ。
2人なら、普通では手に入りにくいものでも入手できる。
さすがに『白銀の大牙』は無理だったが、それは俺たちが自力で手に入れたわけだしな。
そして、ミルカ、キーネ、サテラたちもそれぞれのツテでちょっとした材料を手に入れてくれている。
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