「よう。この俺が来てやったぞ」
翌朝。
俺は冒険者ギルドにやってきた。
職員のアイシャに会うためだ。
一度受付嬢を通そうかと思ったのだが――
「ライル様。すぐに応接室へご案内いたします!」
なぜか、彼女は飛んで来た。
「おう、話が早いな」
「はい! ライル様に会えるのをずっと心待ちにしていましたので」
「そうなのか? それは悪いことをしちまったかな」
「いえ、いいのです。だって今日はライル様とお話しができるのですから」
アイシャは満面の笑みを浮かべていた。
初対面では生意気だった彼女も、完全に屈服しているな。
最初に威圧して実力の差を分からせて、性的な快楽を与えると同時に”竜の加護”を付与し、さらには盗賊団の討伐で社会貢献する姿も見せてやった。
おかげで、すっかり俺に懐いているようだ。
「こちらへどうぞ」
「ああ」
俺はアイシャのあとに続き、応接室に入る。
そしてソファに座ると、お茶を出してきた彼女に切り出した。
「それで、話なんだが。お前に頼みがある」
「はい! 何なりとご命じください」
アイシャは目を輝かせながらそう言った。
「近いうちにシルバータイガーの捕獲を計画している。そこで、人手を集めていてな」
「シルバータイガーの件は聞いております。しかし、人手でございますか? ライル様であれば、シルバータイガーを討伐することは容易では?」
「話はちゃんと聞け。討伐ではなく捕獲なんだ。それも、牙に傷を付けないように注意してな」
良質な”白銀の大牙”を手に入れるためには、そうする必要がある。
「ああ、なるほど……。ライル様は大変お強いですが、そのため牙ごと粉砕してしまう危険があるということですか」
「まぁ、そんなところだ」
「わかりました。私にできる範囲の協力は惜しまないつもりです」
「助かるよ」
俺は礼を言う。
拒否するようであれば”命令”して、肉体に分からせてやることも考えていたが……。
こうすんなり了承してくれるのであれば、楽なものだな。
「であれば、さっそく引き継ぎをしておきます。……ちょっとそこのあなた!」
「は、はい?」
アイシャが通りすがりのギルド職員を呼び止める。
こちらも、若い女性だ。
「私はライル様のお手伝いをすることになりました。取り掛かる予定だった仕事は全てあなたに引き継ぎます」
「え? は? ……ど、どういうことでしょうか」
女性職員は混乱した様子だ。
アイシャの美点は話が早いことなのだが、いくらなんでもいきなり過ぎるだろう。
ここは俺からもフォローしてやる必要があるかもしれない。
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