「なんだよ……! なにが言いたいんだ……!?」
「――お前は、ここで終わりだ。兄として、弟の始末をつけさせてもらおう」
俺は、かつての家族に向けて言った。
「……はっ! こっちには人質がいるんだぞ! 俺に勝てると思っているのかよ!!」
「ん? 人質とは――こいつのことか?」
俺は、自分の腕に抱えた女に視線を落とす。
ロゼリアが不思議そうな顔をしてこちらを見上げていた。
「……え? あれ? わ、若様……? いつの間に……」
「この俺にかかれば、人質を救出することなど造作もないことだ」
「クソっ! 何なんだ、いったい!!」
ははっ!
まだ状況を理解していないようだなぁ、こいつは。
自分が知覚できない程の超スピードで人質を奪われた。
その事実を理解しきれていないようだ。
「さて、お前もいよいよ終わりだな。弟よ」
「ふざけるんじゃねえぞ……!! たかが外れスキル持ちの、雑魚ごときが!! 俺を弟と呼ぶんじゃねぇ!!!」
「くくっ。ああ、いいとも。お前の望み通りにしてやるよ」
俺は魔力と闘気を開放する。
そして、ガルドに向けて駆けていくのだった。
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