S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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54話 盗賊団を圧倒

公開日時: 2022年1月9日(日) 09:24
文字数:1,663

 盗賊団との戦闘が始まった。

 力を抑えつつ適当に楽しませてもらおう。


「【ライトニング】」


 俺は手を掲げ、魔法を発動する。

 指先から放たれた稲妻が盗賊たちに襲いかかる。


「「「ギャアァッ!!!」」」


 悲鳴が上がる。

 何人かが黒焦げになり、感電死した。

 いかんな。

 雷魔法だと強すぎるか。


「ひっ……!」


「な、なんだ……?」


「こ、こんなの聞いてないぞ!」


 盗賊どもが狼狽する。


「うろたえるな! この威力の魔法が連発できるはずがねえ!」


「このスキに距離を詰めて接近戦に持ち込め!!」


 盗賊団の幹部っぽい奴らがそう指揮を取る。

 言っていることはまともだ。

 なかなかやるな。


 まあ、俺の場合はいくらでも連発できるのだがな。

 このまま雷魔法を連発するのもいいが、それだと皆殺しになってしまう。


 ここからは接近戦にしよう。

 俺はアイテムバッグから棍棒を取り出す。

 かつてゴブリンキングから奪い取った、頑丈で巨大な棍棒だ。


「ちっ! アイテムバッグ持ちか……」


「だが、そんなでかい棍棒をまともに扱えるわけがねえだろうが!!」


「げへへ……。アイテムバッグは回収して、俺たちが有効活用してやるよぉ!!」


 そう言いながら突っ込んでくる盗賊たち。

 おいおい……。

 真正面から俺に挑むとは、命知らずだな。


「雷霆八卦(らいていはっけ)!!!」


 バリリリィィ!!

 俺は棍棒に魔力を込め、超速の一撃を繰り出す。


「ぎゃぁああああっ!!!」


「ひぃやあぁあ!!」


 大ダメージを受け、崩れ落ちる盗賊たち。

 ふむ。

 こうして武器で倒すのも、たまには悪くない。

 肉を潰す感覚が心地いい。


 棍棒の一撃で何人かは潰れたが、何人かは生き残っている。

 闘気で防いだか。

 悪くない防御力だ。


「ぐぐっ……!」


 それどころか、立ち上がろうとしている者までいる。

 一口に盗賊団とはいえ、その強さにはムラがあるな。

 ちょうどいい感じの手加減は難しい。

 俺は起き上がろうとしている者のところまで歩いていき……。


「すまん、手が滑った」


 俺はそう言って、男の腹の上に棍棒を落とす。

 巨大で重い棍棒のプレゼントだ。


「がぼごおおおっ!!」


 男が苦しむ。

 これで起き上がれないだろう。

 ずっと放置していればその内死ぬかもしれないが、この戦闘が終わるまでの間であれば持つと思う。

 さて、残りは半分の15人といったところか。


「お、お前ら、何をやってるんだ!? 早くあいつを殺すんだよ!!」


 幹部らしき男の声に、盗賊たちが反応する。


「で、ですが兄貴……」


「あの男……強すぎますぜ」


 口々にそう言う男たち。


「そ、そうだ! 武器を失った今のうちに、みんなで一斉にかかればきっと勝てるはずだ!」


「わ、わかりました!」


「おう!」


 ようやく、やる気になったようだ。

 10人ほどの盗賊が俺に向かって駆け寄ってくる。

 だが、遅い。

 遅すぎる。

 俺は足を軽く上げ、そのまま踏みつけるように下ろした。


 ドガッ!!!

 轟音とともに地面が大きく陥没する。

 盗賊たちの身体はその衝撃により、宙に浮かび上がる。


「【裂空脚】」


 俺はその場で回し蹴りを放つ。

 この蹴りをまともにくらえば、盗賊程度なら原型も留めないだろう。

 しかしもちろん、直接これを当てるつもりはない。


「がっ!」


「ぐああっ!」


 俺の回し蹴りにより発生した空気の塊が盗賊たちを襲う。

 直接当てるのではなくて、空気で間接的に当てるのであれば死ぬことはないだろう。

 我ながら、素晴らしい手加減方法を思いついたものである。


 やれやれ。

 ザコを殺さないように手加減するのも、苦労するな。

 まあいい。

 何にせよ、これで残るは数人だ。


「な、なんだこいつ……?」


「人間なのか……? バケモノじゃねえのか……?」


「こ、こんな奴にかなうわけがねえ!」


 盗賊たちは完全に戦意を喪失している。

 俺は最後の仕上げに入ることにした。


「【指弾】」


 俺は指パッチンの要領で、右手の指から空気の塊を飛ばしていく。

 いくら俺とはいえ、所詮は指パッチンだ。

 急所に当たらなければ、死ぬことはない。


「ぐへっ!」


「ぷげらっ!!」


 次々と倒れ伏していく盗賊たち。

 そしてついに、立っている者は1人だけとなった。

 盗賊団のボスだ。

 彼は俺を楽しませてくれるだろうか?

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