「いよいよだ。いよいよ、ルーシーを生き返らせることができる」
俺はリリアと二人で、ルーシーが眠る地にやって来た。
ここは、ガルドがルーシーを強姦した上で惨殺した場所。
俺にとっては悪夢の場所だ。
しかし、今日からは違う。
「リリアが導いてくれたおかげで、無事にエリクサーを完成させることができた。ありがとう」
「構わぬ。余にとっても意味のあることじゃからな」
「うん?」
俺は思わず聞き返す。
エリクサー作りが、リリアにとって意味のあること……。
そうだったか?
そう言えば、彼女が俺を手伝ってくれている理由は何だったか……。
「S級スキル【竜化】を覚醒させ成長させたお前さんは、既に人族どころかそこらの中級竜よりも強い存在となっておる」
「ああ、そうだな。それもリリアのおかげだよ」
スキルに慣れない俺を、彼女が導いてくれた。
ルーシーを蘇生させる道筋を示してくれたのは彼女だし、素材集めとして最初に『白銀の大牙』へ狙いを定めたのも彼女だし、ストレアを拠点にしてからも重要なところでは方針を決めてくれていた。
「この調子でいけば、さらに成長して上級竜も超える存在となるじゃろう。もう一歩じゃ」
「おいおい……。俺の目的はもうすぐ達成されるんだぜ? これ以上、S級スキル【竜化】を極めていく必要はないって」
俺は苦笑する。
男として、戦闘能力をドンドン上げていくことに魅力を感じないわけではない。
だが、何事にも限度はある。
現時点での俺は中級竜レベルらしいが、人族の中ではもはや敵なしだ。
ほぼ単独でブリケード王国軍に勝ったぐらいだしな。
眷属であるレスティ、ロゼリア、ガルドあたりにも動いてもらったとはいえ、彼女たちは俺の竜の加護を受けている。
その点を踏まえれば、やはり俺が単独でブリケード王国を落としたようなものと言えるだろう。
もはや人の域を越えた力を手にしてしまったのだ。
これ以上、成長させる必要もない気がする。
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