俺とリリアは、空を飛んで目的地の村に向かっている。
俺の背中には女性を乗せている。
やがて、目的地が見えてきた。
「……あれか」
上空からその光景を見て、呟く。
そこは森に囲まれた村だった。
規模は小さく、家々はボロでみすぼらしい。
おそらくは貧しい農村なのだろう。
「村の手前に降りよう。そこから徒歩で近づくぞ」
「了解じゃ。ライルよ」
俺とリリアは地上に降り、竜化状態を解く。
「はあ、はあ、はあ……」
女が、俺の背中から降りると同時に、地面に倒れ伏した。
どうやら体力の限界を迎えたようだ。
「情けないのう」
「うぅ……。だ、だって、こんなことって……」
女が倒れ込んだままそう言う。
「そういえば、我らの秘密をこやつに見せても問題なかったのじゃろうか?」
リリアがそう問う。
「問題ないさ。こいつに、秘密を口外しないように言っておけばいい」
「そやつは信頼できるのか?」
「ああ。決して口を滑らせたりしないだろう。……なあ? わかっているよな?」
俺がそう問いかけると、女性はビクッと体を震わせた後、「はいぃ!」と答えた。
「それならいいのじゃが……。どうにも心配じゃの」
リリアがなおもそう懸念を示す。
「まあいいじゃないか。どうしても信頼できそうになければ、口を封じる手段はいくらでもある」
俺はチラリと女性の方を見る。
「ひっ! あ、ああ……」
女性がよろけて尻もちをつく。
そして、彼女の股間あたりからジョボボという音が聞こえた。
「あまりイジメてやるな。また漏らしておるようではないか」
「ふむ。さほど殺気を込めたつもりはなかったのだがな。漏らし癖がついているんじゃないか?」
俺は少し呆れてしまう。
「うう……。でも、大丈夫です……。対策はしていたので……」
女性がよろめきながら立ち上がる。
「……? 何かしていたのか?」
そう言えば、対策をしているとか言っていたか。
「はい。今日、街を出る前に、それ用の下着をつけたのです。防水性に富んだものです」
「なるほどの。確かにそれは賢明な判断かもしれんの」
「それならいい。しかし、そのようや下着があったのだな。便利そうだ」
まあ、俺が漏らすことはないが。
「ええ。一般的にはオムツと呼ばれていますね。最近、とある商会から販売が始まりました」
「ほう。それは興味深い。どれ、一度見せてもらえるか?」
新製品は興味深いものだ。
今の俺は王子ではないが、かつてはブリケード王国の次期国王として様々な教育を受けていた。
市井に出回る斬新な新製品にも適度に触れてきた。
ここは、ぜひ実物を確認しておくべきだろう。
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