ミルカを襲っていた盗賊の男二人を撃破した。
一人は気絶しているが、もう一人は無事だ。
彼が這って逃げようとする。
「おい、待てよ」
俺はそう言いつつ、男の前に回り込む。
「た、頼む! 命だけは!」
男は土下座してそう懇願する。
みっともないな。
プライドはないのかね。
「盗賊風情が何を言う。今までに散々罪を犯してきただろう?」
俺は冷たい目を向ける。
「あ……う……」
それを見た男が、言葉を失う。
「だがまあ、お前の態度次第では考えてやらんでもない。お前には聞きたいことがある。アジトの構造とか、仲間の数とか」
「そ、それは言えん! 言ったら殺される!」
「ほう。言えないか」
俺は男の髪を掴んで持ち上げる。
「い、痛い! やめてぐれぇ!!」
男が悲鳴を上げる。
「言わないなら、死ね」
ボウッ!
俺は火魔法を発動させ、男の右腕を焼却する。
「ああああああ!!!」
男が絶叫をあげる。
「や、止めでくれ!! 言うから! 何でも話すから!!」
「ふうん。どんなことを話すって?」
「だから、仲間の数と、アジトの構造だよ! 全部教えっ! 教える!!」
「なるほど。じゃあ、話せ」
「うっ……ぐ……。俺たちは全部で十人くらいの集団だ……。アジトは一本道だから迷うことはない……」
「嘘をつくんじゃねえよ」
俺は男の左腕を焼却する。
「あああ!!!」
男が苦痛に顔を歪める。
実際のところ、俺の探知能力により大まかな人数やアジトの構造は分かっている。
あくまで念の為に尋問しているだけだ。
「本当のことを言え。次は殺す」
「ア、アジトはこの洞窟を左手に沿って歩いていけば着く! 最奥部には、30人ぐらいの仲間がいる!」
「他に仲間は?」
「裏口に数人配置されているぐらいだ! 後はいねえ。俺が知っているのはこれで全てだ! 信じてくれよぉ」
泣き顔になる男。
まあ、これでも充分情報は得られたが……。
「ライルさま!」
俺の背後に控えていたミルカが声をかけてくる。
囮作戦は終えたが、まだ全裸のままだ。
そういえば、服を持ってくるのを忘れたな。
「ミルカか。こいつを尋問して情報を得られたぞ」
「さすがでございます! ……それでその男たちはどういたします?」
ミルカが男たちを一人ずつ見て尋ねる。
片方は、俺が両腕を焼却して尋問しているところだ。
もう一人は、俺の初撃で泡を吹いて気絶している。
「そうだな。まあ、この場で殺しても構わないんだが、生け捕りにしておいた方が今後何かに役立つかもしれんな」
「では、アタシにお任せいただけないでしょうか?」
ミルカが提案してくる。
「お前にか? ふむ。いいだろう。やってみろ」
「ありがとうございます!」
そう言って、ミルカは男に近づく。
いったい何をしようというのか。
見守ることにしよう。
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