S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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49話 本当のことを言え。次は殺す

公開日時: 2022年1月4日(火) 10:03
文字数:1,096

 ミルカを襲っていた盗賊の男二人を撃破した。

 一人は気絶しているが、もう一人は無事だ。

 彼が這って逃げようとする。


「おい、待てよ」


 俺はそう言いつつ、男の前に回り込む。


「た、頼む! 命だけは!」


 男は土下座してそう懇願する。

 みっともないな。

 プライドはないのかね。


「盗賊風情が何を言う。今までに散々罪を犯してきただろう?」


 俺は冷たい目を向ける。


「あ……う……」


 それを見た男が、言葉を失う。


「だがまあ、お前の態度次第では考えてやらんでもない。お前には聞きたいことがある。アジトの構造とか、仲間の数とか」


「そ、それは言えん! 言ったら殺される!」


「ほう。言えないか」


 俺は男の髪を掴んで持ち上げる。


「い、痛い! やめてぐれぇ!!」


 男が悲鳴を上げる。


「言わないなら、死ね」


 ボウッ!

 俺は火魔法を発動させ、男の右腕を焼却する。


「ああああああ!!!」


 男が絶叫をあげる。


「や、止めでくれ!! 言うから! 何でも話すから!!」


「ふうん。どんなことを話すって?」


「だから、仲間の数と、アジトの構造だよ! 全部教えっ! 教える!!」


「なるほど。じゃあ、話せ」


「うっ……ぐ……。俺たちは全部で十人くらいの集団だ……。アジトは一本道だから迷うことはない……」


「嘘をつくんじゃねえよ」


 俺は男の左腕を焼却する。


「あああ!!!」


 男が苦痛に顔を歪める。

 実際のところ、俺の探知能力により大まかな人数やアジトの構造は分かっている。

 あくまで念の為に尋問しているだけだ。


「本当のことを言え。次は殺す」


「ア、アジトはこの洞窟を左手に沿って歩いていけば着く! 最奥部には、30人ぐらいの仲間がいる!」


「他に仲間は?」


「裏口に数人配置されているぐらいだ! 後はいねえ。俺が知っているのはこれで全てだ! 信じてくれよぉ」


 泣き顔になる男。

 まあ、これでも充分情報は得られたが……。


「ライルさま!」


 俺の背後に控えていたミルカが声をかけてくる。

 囮作戦は終えたが、まだ全裸のままだ。

 そういえば、服を持ってくるのを忘れたな。


「ミルカか。こいつを尋問して情報を得られたぞ」


「さすがでございます! ……それでその男たちはどういたします?」


 ミルカが男たちを一人ずつ見て尋ねる。

 片方は、俺が両腕を焼却して尋問しているところだ。

 もう一人は、俺の初撃で泡を吹いて気絶している。


「そうだな。まあ、この場で殺しても構わないんだが、生け捕りにしておいた方が今後何かに役立つかもしれんな」


「では、アタシにお任せいただけないでしょうか?」


 ミルカが提案してくる。


「お前にか? ふむ。いいだろう。やってみろ」


「ありがとうございます!」


 そう言って、ミルカは男に近づく。

 いったい何をしようというのか。

 見守ることにしよう。

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