S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

120話 重要拠点に突撃

公開日時: 2022年10月29日(土) 11:13
文字数:1,006

「アイシャ。怪しい場所ってのはここか?」


 俺はアイシャと共に、スラムにやって来ていた。

 そして、とある建物の前でそう確認した。


「はい。違法奴隷商はアジトを頻繁に移していますので、確証はありませんが……。少なくとも重要拠点の1つだと思われます」


 アイシャは自信ありげに答える。

 見た感じ、民家にしか見えないのだが……。

 冒険者ギルドの上級職員である彼女が言うなら、それなりに信用できるだろう。


「よし」


 俺は建物のドアの前に立つ。

 そして――

 ドガッ!

 思い切り蹴破った。

 それから中に踏み入り、「よぉ」と言いながら手を挙げる。

 すると、中にいた男たちがわめき出した。


「なんだてめぇは!」


「俺たちが誰だか知ってるのか?」


「なめてんじゃねぇぞ!!」


 などという言葉を無視し、俺は室内を見渡す。

 特に変わった様子はない。

 人の姿もなく、物陰に隠れているということもないようだ。

 俺は大きく息を吸い込んで、宣言する。


「ここは制圧した! 抵抗は無駄だ! 大人しく投降するなら、命だけは助けてやろう!!」


 静まり返った。

 あれ?

 なんか思ってた反応と違うぞ……。


「ぎゃはははは! こいつ、バカじゃねーのか!!」


「何が制圧だよ! ただ入ってきただけじゃないか!」


「おい兄ちゃん、悪いことは言わないから帰った方がいいぜ」


「へへへ。でないと、痛い目を見ることになる」


 4人の男が武器を手に立ち上がる。

 どう見ても無法者だな。

 アイシャの情報は正しかったようだ。


(しかし、こいつらの言うことにも一理あるな。S級スキル竜化を持つ俺からすれば、建物に足を踏み入れた時点で制圧したようなものだが……。確かに外から見れば、ただ入って来ただけに過ぎない)


 仕方がない。

 ちょっと脅すか。


「はぁ……。やれやれ。俺がせっかく警告してやったというのに、なぜそんな態度を取るんだ? まあ、いいだろう。それなら、痛い目をみてもらおうかな……」


「ほざけ!! 死ねええぇ!!!」


 1人が飛びかかってきた。

 同時に、残りの3人も一斉に襲ってくる。

 だが――


(遅い! 遅すぎるっ!!)


 俺にとって、彼らの動きはスローモーション映像のように遅く見えた。

 俺は軽く腕を振る。


 バキッ!

 バキィッ!!

 たったそれだけで、男の身体は木の葉のごとく吹き飛んだ。

 2人目、3人目の男もそれぞれ壁に叩きつけられる。

 4人目に至っては、天井に頭をぶつけて埋まっている。


 無事な者はいない。

 全員が意識を失っているようだ。

 適当に起こして、さっさと情報を集めようか。

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