「ひいいぃっ! た、高い! 落ちちゃいますよう!」
「問題ない。俺がそんなヘマをするかよ」
俺は竜形態になり空を飛んでいた。
眼下にある風景を眺めると、凄まじい迫力を感じられる。
それは認めよう。
だが――
「……キーネ、少し怖がりすぎじゃないか?」
俺は少しだけ呆れた声で、同行者に語り掛ける。
彼女は雌奴隷のキーネ。
かつて山岳部に巣食う盗賊団の討伐に失敗し、メスタとかいう冒険者と共に捕まっていた。
そこから俺が救い出し、俺の雌奴隷として連れ回すことにしてやったのである。
助け出される前と後で、雌奴隷という立場は変わっていない。
ただ、汚らしい盗賊団の奴隷とS級スキル竜化を持つ俺の奴隷ならば、後者の方が良いに決まっている。
俺はコイツの恩人と言ってもいいだろう。
「そ、そんなこと言われましても……。私はただの人間ですよ? こんなの怖いに決まってます!」
「そりゃあそうだろうが……」
「うわああああああっ!!!!」
キーネが絶叫を上げ続ける。
せっかく連れてきてやったというのに、ここまで怖がるとは。
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