「……これはいったい、何の真似だ? 全軍指揮官レスティよ」
俺はそう告げる。
王座に座る俺の前で、レスティが剣を構えていた。
「ご主人には、王座から降りてもらう。もう限界なんだ……」
「ふむ? お前の目的は王座か。そんな野望があったとはな」
俺は感心する。
彼女は紅猫族であり、強さを至上とする民族だ。
だが、それはあくまでも個人単位での戦闘における強さだ。
集団のトップになることを重視はしていなかったはず。
「……いいえ、違います。これは私たちの総意です」
「みんなで相談したのさ。ライル様を止めるってな」
冒険者のキーネとシャオが、そう付け足す。
彼女たちもレスティの側にいた。
油断なく武器を構え、俺を睨んでいる。
「どうしてだ?」
俺は首を捻る。
これでも、こいつらのことは評価していた。
俺が与えた竜の加護により強化された彼女たちは、とても便利な駒として使えるからだ。
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