「それではルーシーの気が晴れなかったのかもしれん。やはり、罪人は殺すに越したことはない」
「お、お兄ちゃん……冗談だよな……?」
ガルドが引きつった笑みを浮かべながら聞いてくる。
俺がこいつを殺すデメリットがないわけではない。
バリオスと交渉して手に入れた、ブリケード王国の傀儡国王。
それがガルドだ。
こいつを殺せば、ブリケード王国の支配がやや面倒くさいことになるし、単純にA級スキル【剣聖】持ちを失うことにより手持ち戦力が少なくなる。
だが、ルーシーが受けた苦痛に比べれば些細なことだろう。
「ん? 俺は本気だぞ?」
俺はそう言う。
すると、ガルドの体が大きく震えた。
「や、やめてくれっ! 俺は十分に反省している!! なぁ、また奉仕するから許してくれよ!!」
ガルドが縋り付いてくる。
俺はため息をついた。
「はぁ……」
「ほ、本当に待ってくれって! へへ……ほら、俺も奉仕が上手くなってきたんだぜ? んぐっ……」
ガルドが俺のズボンを下ろし、奉仕を始める。
俺はそれを無視して思考した。
(……まあ、別にガルドは今すぐ殺さなくてもいいか)
ルーシーの体調が安定しない理由はまだ不透明だ。
ガルドの存在が悪影響を及ぼしている可能性はあると思うが、確定ではない。
むしろ、ガルドを殺すことで多少なりとも悪影響を及ぼしてしまう可能性もある。
ルーシーは優しい娘だ。
自分を強姦した上で殺害した者であっても、死刑に対して大喜びするようなタイプではない。
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