「ふぅ……。最近はようやく平和になってきたな」
俺はそう呟く。
聖竜帝国は、周辺諸国との戦争に明け暮れていた。
最も戦闘が激化していたのは、今から5年ほど前だったか……。
ルーシー、レスティ、ロゼリアあたりの妊娠が重なり、聖竜帝国の戦力がガクッと低下したのが原因だ。
一時、防衛ラインを下げたりもして……。
あの時は結構ヤバかったな。
「束の間の平和ってやつじゃないか? 油断は禁物だぜ、ライル様」
ルーシーが俺に警告する。
俺たちは今、王宮の中庭にいた。
「大丈夫さ。あれから、妊娠のタイミングには気をつけているし……。それに、子どもたちもそろそろ戦力として数えられるレベルだ」
「あたいは心配だけどな……。一番の年上でも、まだ7歳だろ?」
「サティと……ミラのことだな」
俺は我が子の名前と姿を脳裏に浮かべる。
長子は、山娘サテラに生んでもらったサティだ。
竜化スキル覚醒後の俺が初めて訪れた村で致したときの子だな。
山の民の血を受け継いでいるためか、肉弾戦メインで野性的な戦い方をする。
次子は、村娘ミルカに生んでもらった女児だ。
名をミラという。
こちらは、魔法使い系の才能を持っているようだ。
最近では母親ミルカと共に、魔法の修練に励んでいると聞いている。
「ああ。2人はしっかりものだけど、実戦投入は早いんじゃねぇか?」
「確かに2人とも、まだまだガキンチョだ。成人の儀によるスキル獲得もまだだな。だが、かなり強いぞ」
「へぇ?」
「特にサティはヤバい。修練場を遊び場と思っているのか、毎日のように騎士連中をボコボコにしているらしい。しかも素手で」
「……まぁ、ライル様の血を引いているしな。当然と言えば当然だ」
ルーシーが頷く。
そして、彼女は言葉を続けた。
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