「……ガルド、奉仕はもういいぞ」
しばらく考えた後、俺はガルドに言う。
彼女はホッとした様子で顔を上げた。
「あ、ありがとう……お兄ちゃん……」
「お前を処刑するのは保留だ。とりあえず、お前が完全に俺の支配下にあることをルーシーに見せることにしよう。彼女の反応次第で、お前の処遇を考える」
これぐらいが現状の落とし所だろう。
ガルドを去勢した上で奴隷にしていることは、既に伝えている。
だが、目の前でその様子を見せたわけではない。
ガルドが俺の支配下にあることを実感できれば、ルーシーの体調も安定する可能性がある。
彼女がガルドを恐れたり嫌ったりする様子を見せれば、改めてガルドの処刑を前向きに検討すればいい。
「お、おう……」
ガルドは頷く。
俺は立ち上がった。
「来い」
「あ、ああ……」
ガルドを連れて玉座の間を出る。
そして、ルーシーが休んでいる寝室に向かった。
「ルーシー、入るぞ」
俺は寝室のドアをノックして言う。
すると、中から声が聞こえてきた。
「う、うん……」
俺たちは部屋に入る。
ルーシーはベッドに腰掛けていた。
顔色が悪く、憔悴しているように見えるが、とりあえず生きていることに俺は安堵する。
俺はガルドに視線を向けた。
「ルーシー、こいつが誰か分かるか?」
「……っ!」
彼女はビクッと肩を揺らすと、怯えた視線をガルドに向ける。
俺は苦笑しながら続けた。
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