「なぁ、お兄ちゃん! そこまでにしとけよ! ルーシーの姉御が怖がってるだろ!!」
ガルドが俺とルーシーの間に入る。
こいつの殺処分は保留中だ。
ルーシーに『竜の加護』を与えてから、彼女の体調は安定したからな。
ま、代わりに精神の方が不安定になっているのだが……。
「どの口が言っているんだ。お前の存在こそ、ルーシーの恐怖の対象だろうが」
俺はそう指摘する。
ガルドはルーシーを強姦し、殺害したことがある。
俺がエリクサーを作らなければ、今も死亡したままだっただろう。
「ほら、ガルドはどいてろ。俺の愛こそ、ルーシーを癒やす唯一の手段……で……」
俺は途中で言葉を止める。
ルーシーが俺の視線から逃れるように、ガルドの背後に隠れたからだ。
「はぁ……」
俺はため息をつく。
やはり、ルーシーは疲れているようだ。
幼なじみの俺をなぜか怖がったかと思えば、強姦殺人犯のガルドにはやけに懐いている。
明らかにおかしい。
彼女の精神が疲弊しているのは間違いないだろう。
エリクサーの副作用か何かかな?
俺を怖がる理由なんてないもんな。
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