「フゥー……! ガルルル……!」
その目がギョロリと動いて、俺を睨みつける。
――その瞬間に、俺はシルバータイガーの感情を理解した。
こいつは俺を恐れている。
俺が本気になれば、すぐにでも殺されることを理解しているのだ。
こうしている今も、俺に対して明確な恐怖を抱いていることが分かる。
それでも逃げないのは、背中を向ければすぐにでも襲いかかられることが分かっているからであろう。
俺たちを獲物と思って迂闊に近づいてきたのが、運の尽きだ。
「では、行くとしよう。まずは俺が先制攻撃を行う」
「頼んだ。ダメージを与えすぎて、殺してしまわぬようにな」
「分かってるって」
リリアの言葉に、俺は軽く答える。
「グオォオッ!!」
シルバータイガーが吠え、突進してくる。
鋭い爪と牙による攻撃を避けながら、俺は右手で火魔法を放った。
「――【リトル・フレイムアロー】」
俺の手のひらから生まれた炎の矢がシルバータイガーの後ろ足を襲う。
「グアァアッ!!」
シルバータイガーが悲鳴を上げる。
後ろ足への攻撃なので、牙に傷も付いていない。
「おおっ! すげぇな! 大したもんだぜ、ご主人!!」
「お世辞はいらない。それより、今のうちに追撃しろ。あくまで慎重にな」
「分かってるって!」
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