「どうされましたか?」
「何が起きたんだ?」
キーネたちが首を傾げる中、当人であるレスティだけはその正体を理解しているはずだ。
彼女は震えながら自身の下腹部を押さえた。
「くぅっ……くぅっ……」
俺の目の前では、お腹を抱えて苦しむレスティの姿がある。
彼女は息も絶え絶えといった様子だ。
「人族め、アタシに何を……」
「意思の強いお前のことだ。どうせ諍いを起こすと思ってな。お前が意識を失っている間に、魔導具を埋め込ませて貰った」
「なっ!?」
「俺が魔力を込めれば、お前は腹痛に襲われるという仕組みだ」
「ぐ、ぐうっ!! 人族の分際でなんてことを!!」
レスティが悔し気に表情を歪ませる。
だが、どうしようもあるまい。
たとえ万全の状態であっても、S級スキル竜化を持つ俺には勝てない。
ましてや、便意を堪えながらでは尚更だ。
「さぁ、皆の前で垂れ流すのが嫌なら……分かるな?」
「ち、ちくしょう……」
レスティが諦めたような声を上げる。
そして、皆に向けてゆっくりと頭を下げる。
「新しく仲間になったレスティだ……。仲良くしてくれ」
「はい! 分かりました!」
「よろしくお願いしますね」
素直になったレスティは、スピカやサテラに快く迎え入れられた。
どこか同情しているような雰囲気があるのは気のせいだろうか?
まぁいい。
こうして俺は、新たな戦力をパーティに加えることに成功したのだった。
次は……ミルカでも迎えに行ってみるか。
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