「スピカさんがこれほど強かったとは……。私も負けていられません!」
スピカに感化されたのだろうか。
次は、元ギルド職員アイシャまでもが飛び出した。
そんな彼女の頭にも、かつてのライルとの日々がよぎる。
『ひぃいいいっ!! は、速いです! 怖いです!!』
『我慢しろ。街の外に行くだけだ』
『そ、そんなこと言われましてもぉおおおっ!!!』
そんなやり取りをしたことを思い出して――アイシャは苦笑した。
「なんだか懐かしいですね。あの頃の私は弱かったです。恋人と別れたのも自業自得でした……。でも、だからと言って――」
「グルルル……! グオォッ!!」
「ライル様に責任がないわけじゃありませんから! 恋人がいる私に、強引に迫ってきて……! 責任は取っていただきます!!」
アイシャは吠える。
サテラ、スピカ、アイシャ。
3人分の力が、ライルの前足を押し返す。
「グルルル……。グオォッ!?」
S級スキル【竜化】を持つライルの姿勢が、徐々に崩れていく。
そのチャンスを逃すまいと、ミルカやキーネが動き出したのだった。
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