S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い。お前たちは、俺たちの属国として面倒を見てやるよ

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
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265話 ライルとの思い出 サテラ

公開日時: 2024年3月20日(水) 10:12
文字数:528

「グルルル……。グォオオオッ!!」


 レッドドラゴン――ライルの満足気な咆哮が響き渡る。

 彼の目の前には、地面に倒れ伏す人々の姿があった。


「うぅ……。くそっ!」


「【竜滅薬】を使っても……勝てないのか……!」


 ロゼリアとガルドが忌々しげに呟く。

 彼女たちはライルに総攻撃を仕掛けたものの、見事に返り討ちあってしまった。


「グルル……。グォオオッ!!」


 ライルは彼女たちにトドメを刺そうと、前足を上げる。

 そんな時だ。


「させません! 私とライル様、そして愛娘サティの未来のために……!!」


 山娘サテラがライルの眼前に躍り出た。

 彼女は彼の前足を支え、攻撃を防ごうとしている。

 だが、相手はS級スキル【竜化】を持つ強者だ。

 明らかにサテラは力負けしている。


「ぐぬぬぬ……。なんて力……。でも、負けません……!」


 サテラが力を振り絞る。

 彼女の脳裏に浮かぶのは、かつてのライルとの日々だ。


『この子の父親は、ライル様です。私とあなたの愛の結晶なのです!』

『……なっ!?』

『どうですか? 似ていますでしょう?』

『……ッ!! 俺の子だって?』


 そんなやり取りをしたことを思い出して――サテラは笑みを浮かべた。


「ちょっとアレなところもありますけど……。ライル様は私の光! 正気に戻ってください! はああぁっ!!」

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