「グルルル……。グォオオオッ!!」
レッドドラゴン――ライルの満足気な咆哮が響き渡る。
彼の目の前には、地面に倒れ伏す人々の姿があった。
「うぅ……。くそっ!」
「【竜滅薬】を使っても……勝てないのか……!」
ロゼリアとガルドが忌々しげに呟く。
彼女たちはライルに総攻撃を仕掛けたものの、見事に返り討ちあってしまった。
「グルル……。グォオオッ!!」
ライルは彼女たちにトドメを刺そうと、前足を上げる。
そんな時だ。
「させません! 私とライル様、そして愛娘サティの未来のために……!!」
山娘サテラがライルの眼前に躍り出た。
彼女は彼の前足を支え、攻撃を防ごうとしている。
だが、相手はS級スキル【竜化】を持つ強者だ。
明らかにサテラは力負けしている。
「ぐぬぬぬ……。なんて力……。でも、負けません……!」
サテラが力を振り絞る。
彼女の脳裏に浮かぶのは、かつてのライルとの日々だ。
『この子の父親は、ライル様です。私とあなたの愛の結晶なのです!』
『……なっ!?』
『どうですか? 似ていますでしょう?』
『……ッ!! 俺の子だって?』
そんなやり取りをしたことを思い出して――サテラは笑みを浮かべた。
「ちょっとアレなところもありますけど……。ライル様は私の光! 正気に戻ってください! はああぁっ!!」
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