キーネとメスタに全裸土下座をさせようとしている。
キーネは従順なのだが、メスタが反抗的だった。
徹底的な暴力で分からせてやったところだ。
「さあ、いつまで待たせる気だ? キーネは既に全裸で待っているぞ。お前のごとき醜女に、時間を掛けさせるな」
こいつは、外見も内面も醜い女だ。
ミルカの鬱憤を晴らすためにこんな手間を掛けているが、本来の俺であれば歯牙にもかけない相手である。
「は、はい……。すみません……」
メスタはそう謝りながら、涙と鼻水を流しつつ服を脱ぐ。
色気のない下着があらわになった。
そして、そのまま下着を脱ぎ全裸になっていく。
「……くっ。うぇえ~ん……。なんで、こんなことに……。あたいが何したっていうんだよぉ~」
嗚咽混じりにそんな事を呟く。
この期に及んでこいつは……。
こいつの辞書に、反省という言葉はないのだろうか。
百歩譲って自分の行いの正当性に絶対の自信を持っていたとしても、俺という強者の前では従っているのが無難じゃないか?
こいつは外見と性格に加えて、頭脳も劣っているようだな。
まあいい。
これでようやく、キーネとメスタの2人が全裸になったのだ。
彼女たちがミルカの前にひざまづく。
「さあ、手を付き、頭を地面にこすりつけて謝罪しろ」
俺の命令に従い、2人が土下座をする。
「……ミ、ミルカ様……!! 申し訳ありませんでした……!」
キーネが平伏しながら、そう謝罪する。
「ううっ……、ううう……!!」
メスタは土下座をしながらただ号泣しているだけだ。
「ふんっ! 謝罪の声が聞こえねえな」
ミルカがそう言って、土下座状態のメスタの頭を踏んづける。
ドガッ!!
「ぷごっ!!」
無様な悲鳴を上げるメスタ。
鼻の骨でも折れたのかもしれない。
「おら! 早く謝罪しろっつーんだよ!! 豚がぁ!!!」
ミルカがそう言って、足裏でグリグリとメスタの頭を押さえつける。
「ううっ……、も、申し訳ありまぜんでしだ……」
メスタがようやく謝罪の言葉を口にした。
本当にようやくだ。
……ん?
誰かがこの部屋に近づいてきているな。
気配は2つ。
1つは俺と同じくらい強大な気配で、もう片方はぼちぼち程度の気配だ。
この組み合わせは……。
「おお、やはりここにいたか。ライルよ」
「ご無事でしたか。ライル様」
リリアとアイシャだ。
「よう。リリアたちも無事だったんだな。裏口からの脱走者はいたか?」
「うむ。裏口の見張りを含め、数人程度を見つけたぞ。うまく加減できずに、半分ほどは殺してしまったがの」
リリアがそう言う。
「やっぱり、ザコ相手の手加減は難しいよなあ……」
「まあの。しかし、生け捕りの方が後々役立つこともあるのじゃろう?」
「ああ、その通りだ。助かるよ」
リリアは竜だ。
人族に対する興味や同情心はさほどない。
とはいえ、竜化スキルを持つ俺は同格の存在として認めてくれているし、そんな俺が目をかけている人物たちには同じように気を遣ってくれる。
「アイシャも、しっかり働いてくれたようだな。ご苦労だった」
「いえ。微力を尽くしたまででございます」
彼女はそう謙遜する。
腰にある剣からは、血の匂いが漂っている。
おそらく、何人かを斬って無力化してくれたのだろう。
生け捕りにおいては、強すぎるリリアよりもアイシャの方が適任だ。
俺たちは、しばらくそんな感じで情報交換をしつつ、談笑する。
そして、リリアの視線がミルカの足元に向かう。
「……おや? その娘たちはどうしたのじゃ?」
「ああ、実はな……」
俺はミルカ、キーネ、メスタを取り巻く事情を、ざっくりと説明した。
「ふむ。なるほどの……」
「ひどい話です。キーネさんとメスタさん……。あなたたちには、あくまで調査依頼と厳命しておいたはずですよ」
アイシャが怒気を露わにして、そう言い放つ。
そういえば、彼女は冒険者ギルドの職員だったな。
キーネやメスタとも面識があったようだ。
「も、申し訳ありません……」
「ひっ……。す、すみません……。許してください……。もう逆らいませんから……。うえぇええん……。うああああん!」
泣きながら謝罪する2人の女たち。
特にメスタの錯乱ぶりはひどい。
少しいたぶり過ぎたか。
ま、どうでもいいことではあるがな。
無事に合流できたことだし、そろそろ村へ帰ることにしよう。
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