盗賊団の面々を捕縛し村に凱旋してから、数日が経過した。
捕らえてきた盗賊団のメンバー20人ほどの内、半分ほどは既に公開処刑されている。
村人たちの怨嗟の念も少し収まりつつある。
そして残りの半分だが、何人かは引き続き時間をかけて処刑し、何人かは村の共有奴隷としてこき使うそうだ。
それも1つの復讐だな。
ま、それはいい。
俺は俺で、進めるべき仕事を進めていこう。
「おい、外に出るぞ。早くしろ」
俺はキーネとメスタにそう言いつつ、2人の尻を蹴り上げる。
「ぷぎっ!!」
「ぶもおおぉっ!」
俺の仕事は、この2人の調教だ。
あの日以降、こいつらには全裸に四つん這いのスタイルで生活させている。
また、散歩の際には鼻フックも忘れない。
ここ1週間で家畜のように扱われ続けた彼女たちの心は折れているのか、もはや特に反抗することもなかった。
2人が四つん這いになり、そのまま俺についてくる。
俺たち3人が向かった先は、村の中央広場だ。
というか、特に目的地はないのだ。
調教中の惨めな姿を村人たちに見せつけるのが目的だからな。
「ご主人様……。今日は何をされるのでしょうか……?」
キーネがビクビクとした様子で尋ねてくる。
「はっ……。今さら何をされても、あたいは痛くも何ともないぜ……」
メスタがそう虚勢を張る。
何ともないと言う割には、元気がずいぶんとないようだが。
完全に心を折るまで、もう一歩かな。
「そうだな……お前らは豚なんだから……とりあえず、村人の糞でも食わせてみるかな……」
「えっ!?」
「はぁっ? な、なんであたいがそんなことしないといけないんだよっ?」
さすがに想定外だったのか、2人が狼狽している。
まあ、糞を食わせるのはもう少し後の段階でもいいか。
俺としても、糞を食うような汚らわしい奴といっしょに行動したくないし。
調教の最終段階まで温存しておこう。
「冗談だ。だが、そうだな……」
俺が何をしようかと考えつつ、2人のリードを引いて歩みを進めていく。
そして、村の男たちと出くわした。
こいつらは、かつてミルカを巡って俺にケンカを売ってきた奴らだな。
俺の戦闘能力を見せつけ、盗賊団も無事に撃破してやった今は、反抗的な態度は見せない。
「おお……。ライルさん、精が出ますね」
「うむ。豚の躾をするというのは、なかなか大変だ。悪戦苦闘の毎日だよ」
俺と男たちは、そう挨拶を済ませる。
ふと足元に視線を向けると、メスタが適切な姿勢をとっていないことに気がついた。
「メスタッ! お前、何度言ったら分かるんだっ! 俺が足を止めている間は”待て”のポーズを取れって言ってんだろ! この豚がっ!」
俺はそう怒鳴りつけつつ、メスタを蹴り上げる。
「ぶひぃっ!!」
メスタは悲鳴を上げながら、その場に倒れ込む。
「すまんな、見苦しいものを見せて。こいつには学習能力がないんだ」
「なるほど……。ライルさんも苦労なされているようですね」
男が感心した様子で、俺とメスタを見る。
「それに対して、こっちの豚は多少見どころがあるんだ。見てみろ」
俺はそう言って、キーネを指差す。
「ほほう。これは見事な”待て”の姿勢ですな。ライルさんの調教の手腕は、大したものですよ。ははは!」
男は上機嫌で笑う。
キーネがとっている”待て”の姿勢は、人間の感覚で言えば無様な姿勢だ。
全裸四つん這いの状態から、上体を起こして両手を上げるのだ。
何も隠すことはないという意思表示として、足はM字に開く。
当然、性器を手や服で隠すことなどできない。
そのままの状態でじっとしているわけだ。
人間なら恥ずかしくて到底できない格好である。
キーネも最初は嫌々だったが、今ではすっかり慣れたようだ。
メスタと違い、聞き分けがいい。
調教の成果が出ている。
「あ、ありがとうございます。これもご主人様のおかげです……」
キーネが笑顔でそう言う。
うん、いい感じに感情が壊れているな。
メスタも、いつまでも意地を張らずに壊れてしまった方が楽になるのに。
「ところで、お前たちはこれから何か用事でもあるのか?」
俺は男たちの顔を見つめ、尋ねる。
「いえ、特に予定はありません。ただ、暇なので村の中を見て回っていただけでして……」
「そうか。じゃあ悪いが、ちょっとこのメスタを散歩させてくれないか?」
「よろしいのですか?」
「ああ。こいつは俺と少し相性が悪いのかもしれない。飼い主を変えれば、従順になる可能性もあるかと思ってな」
「そういうことでしたら……。任せてください」
男はそう言って、俺からメスタのリードを受け取った。
「そいつは、いずれ村に譲渡してやろうと思っている家畜だ。必要だと思った躾は、自由にしてもらってもいいぞ」
「分かりました。……よし、いくぞ豚」
男に従い、メスタが四つん這いのまま歩き出す。
「ぶひっ……ぶひっ……ぶっ……びっ……」
メスタは時折変な声を出しながらも、広場の外を目指して進んでいく。
俺とキーネはその様子を見守りつつ、滞在先の家に戻り始めたのだった。
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