「あたいの子どもは、大丈夫かな……? 母親としちゃ元気でいてくれれば十分だけど、そうも言ってられねぇよな」
「そりゃ、王妃であるルーシーが生んだ子どもだからな。これからの聖竜帝国を担っていく存在になる。……って、あ……。ルークはまた……」
俺はあることに気付く。
屋敷の屋根に、息子が登っていた。
彼の名前はルーク。
俺とルーシーの子どもであり、双子のお兄ちゃんの方だ。
今年で5歳になる。
「おかーさん! おとーさん!」
「また屋根に登って……。危ないぞ?」
俺はルークに注意する。
だが、ルークは止まらなかった。
「もう子どもじゃないから大丈夫! 落っこちたりしないよ!!」
「それならいいが……」
俺は多少の心配をしつつも、強くは止めなかった。
ルークもまた、俺の血を受け継いでいるのだ。
彼の身体能力は高いし、うっかり落ちてしまう可能性は低いだろう。
もちろん、邪魔が入らなければだが……。
「ふははっ! 見つけたのじゃ、ルークよ!」
「げぇっ!? リリナ姉ちゃん!?」
少し離れた屋根から声が聞こえ、ルークがそちらを見る。
すると、そこには1人の少女が立っていた。
彼女は俺の娘だ。
双子の妹の方で、もちろん兄と同じく今年で5歳になる。
「リリナの奴、またルークを追いかけ回しているのか」
「元気だよな。いいことだけどさ……。ちょっとブラコンかも?」
俺とルーシーは苦笑する。
リリナは、双子の兄であるルークが大好きらしい。
よく彼を追いかけ回していた。
一方のルークは、リリナに対して苦手意識を持っているようだ。
ときおり、半泣きになりながら逃げている。
「そこで待つのじゃ、ルーク!」
「ま……待てと言われて待つ奴はいないよ!!」
リリナとルークが屋根の上で追いかけっこをしている。
その遊びは、ルークが屋根から落っこちるまで続いたのだった。
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