盗賊団のアジトの大部屋前に着いた。
ミルカが大部屋内へと全裸で突撃していく。
盗賊たちにとって、突如現れた侵入者は予想外の存在だったようだ。
彼らは驚き慌てふためき始める。
「な、なんだテメエ!」
「どこから入ってきた!?」
「おい、見張りは何してやがる!」
彼らが口々にそう言う。
だが……。
「へへっ! よく見りゃ、ただの女じゃねえか!」
「それも服を脱いでるとは、準備万端だな!」
「見張りの2人組からのプレゼントってか? あいつらも粋なことしやがるぜ!!」
すぐに落ち着きを取り戻し、下卑た笑いを浮かべ始めた。
そして、30人ほどのメンバーの内の数人がミルカに近づいていく。
完全に油断しているな。
その上、多少とはいえ戦力を分散するとは。
愚の骨頂である。
「おい」
盗賊共の手がミルカに触れる前に、俺はそう声を掛ける。
盗賊たちが俺の方に視線を向ける。
「だ、だれだテメエ!」
「やはり侵入者か!!」
「見張りは何をしてる!!」
男たちが口々にそう言う。
「見張りってのは……こいつらのことか?」
俺はそう言って、足元に這いつくばっている2人を前に押しやる。
「かひゅっ、かひゅっ……」
「うひひ……」
2人とも、失血と痛みによりもはや虫の息だ。
「なっ!?」
「なんてひどいことを!」
盗賊たちが騒ぎ出す。
「ひどい? ああ、確かにこの状態で放置するのはひどいかもな。なら……」
俺は足を振り上げ、男2人を蹴り飛ばす。
「ぎえぇ!!」
「ぶべらぁ!!」
蹴られた衝撃で弾け飛んでいく2人の男。
「ぐぅ……!」
「あば……!」
そいつらはミルカに迫っていた男たちを巻き添えにしつつ、壁に激突した。
これで、30人の内の数人は戦闘不能となったわけだ。
死んでもいないはずである。
まあ、ここまで道案内をさせてきた見張り役2人は今ので死んだだろうが。
「これでいいか?」
俺はニヤリと笑みを浮かべる。
中途半端に苦しめるよりも、一思いに殺した方が慈悲になる場合もある。
盗賊のような世界のゴミを慈悲深く殺すなんて、俺はなんと優しいのだろうか。
とはいえ、残りの盗賊たちはできる限り生け捕りにしないとな。
ミルカにとっても、そちらの方がいいだろう。
親しい者の仇は、一息に殺すよりもいたぶった方がスッキリするはずである。
「お、お前! よくも俺の弟分を!」
「この外道め!」
「ぶっ殺せ!」
怒りの形相でこちらに向かってくる盗賊たち。
ははは。
こうでなくては面白くない。
せっかくの機会だから、俺も少し暴れるか。
洞窟を崩落させない程度に力を抑えてな。
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