「住む世界が違う……?」
「お前さんはS級スキル【竜化】を持つ人族じゃ。スキルの覚醒前は純粋な人族に近い存在であった一方、覚醒後は急速に生物として高みに上り詰めた。つまりは……完全な竜になりつつあるのじゃよ」
リリアが淡々とした口調で言う。
だが、俺はそんな説明で納得できるわけがない。
「馬鹿な……! 俺は人間だ! そんなはずはない!!」
「くく……。確かに、まだ1割ほどは人間としての感覚が残っているようじゃがの……。じきに、完全な竜となるじゃろう」
「違う! 俺は人間だ!!」
「いいや、お前さんは人間じゃない。スキルの覚醒と共に竜の力を手に入れてしまった化け物じゃよ。ま、それでこそ余の伴侶として相応しいがの」
リリアはそう言って、俺に手を向ける。
次の瞬間――俺は脳内に強い衝撃を覚えていた。
「うっ……!」
俺は王座に腰掛けたまま、前のめりになる。
激しい頭痛が襲ってきたのだ。
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